著者
井邉 有未 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.286-292, 2021-10-01 (Released:2021-11-24)
参考文献数
25

【目的】高校生や成人では,咀嚼習慣と肥満の関連が知られている。本研究では,小・中学生を対象に咀嚼習慣と肥満の関連について学年区分別に検討する。【方法】港区教育委員会が実施した小・中学生対象の食育に関するアンケート調査のデータを使用した。体格,咀嚼習慣について,男女,学年区分別にχ2 検定を行った後,痩身傾向・標準体重と肥満傾向の2群に分類し,男女別に肥満と咀嚼習慣について,χ2 検定,ロジスティック回帰分析を行った。【結果】解析対象は,平成30年1月現在港区の小・中学校に通う計8,704人だった(解析対象率95.0%)。ロジスティック回帰分析の結果,未調整のモデル1,学年で調整したモデル2,学年,身体活動,朝食頻度,夜遅い食事,就寝時間,スマートフォン使用時間で調整したモデル3で,噛まない子どもは,噛む子どもに比べ,痩身傾向・標準体重より肥満傾向である可能性が示された[モデル1:男子のオッズ比2.17(95%信頼区間1.69~2.78),女子2.06(1.34~3.20);モデル2:男子2.14(1.67~2.75),女子2.04(1.32~3.16);モデル3:男子1.94(1.50~2.52),女子1.89(1.20~2.98)]。【結論】小・中学生において,よく噛まずに食べる咀嚼習慣は,学年や肥満に関連する生活習慣で調整すると,男女とも肥満に関連していた。
著者
頓所 希望 赤松 利恵 齋木 美果 小松 美穂乃 井邉 有未 渡邉 紗矢
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.46-52, 2021-02-01 (Released:2021-04-05)
参考文献数
26

【目的】外食産業の食品ロスは食品産業で最も多く,およそ半分が食べ残しである。本研究は,健康的な食環境整備と食べ残し削減の取組を促進するため,外食事業者の食べ残し記録の取組状況と提供量や食べ残しに対する態度を検討した。【方法】2019年5月に実施した外食事業者を対象としたインターネット調査で得た398人のデータを利用した。「食べ残し記録」の取組は「計測・記録」群,「目測・記録」群,「目測のみ」群,「把握なし」群の4群とした。属性,食べ残しの有無,食品ロス削減の取組状況,提供量と食べ残しに対する態度を「食べ残し記録」の取組4群で比較した。態度は,「提供量は食べる量に影響する」などの7項目を質問し,「肯定」「否定」の2群とした。各質問項目の群別比較は,χ2 検定を用いた(有意水準5%未満)。【結果】「計測・記録」群11人(2.8%),「目測・記録」群52人(13.1%),「目測のみ」群232人(58.3%),「把握なし」群103人(25.9%)であった。4群間で属性などを比較した結果,「計測・記録」群は,従事年数が長く(p=0.009),食品ロス削減の取組を行い(p<0.001),量より味を重視する態度をもっていた。【結論】食べ残しを計測し記録している外食事業者は5%未満であり,その事業者は従事年数が長く,食品ロス削減の取組を行っており,適量提供に対して望ましい態度をもつことが示唆された。