著者
渡邉 紗矢 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.69-77, 2022-02-01 (Released:2022-03-12)
参考文献数
16

【目的】高度経済成長期で子どもの体格は向上したが,その要因の一つと考えられる当時の学校給食の変化は知られていない。そこで,高度経済成長期に学校給食で使用された食材の特徴を年代区分別に把握することを目的とした。【方法】2019年3月,高度経済成長期(1955(昭和30)~1973(昭和48)年)のうち,得られた広島市の1957,1959~1966(昭和32,34~41)年度の小学校給食の献立表の昼食献立を解析対象とした。献立の料理数,使用食材数,使用された食材を調べた。提供された年度で献立を「導入期(1957,1959,1960年度)」「成熟期(1961~1963年度)」「変革期(1964~1966年度)」に分けて,各年代区分の献立の特徴をχ2 検定,Kruskal-Wallis検定を用いて比較した。【結果】1,445日の献立を得た。料理数と使用食材数は変革期で最も多かった。年代区分別で食材の使用の有無に違いがみられ,増加したものは豚肉,鶏肉,牛乳,マヨネーズなどであった。減少したものは鯨肉,じゃがいも,にんじん,たまねぎ,みそなどであった。また,年代区分別の一日の調味品類の使用種類数で差がみられ,導入期より成熟期,変革期で多かった。【結論】高度経済成長期の期間で,学校給食の料理数,使用食材数は変化していた。鯨肉の使用が減り,豚肉,鶏肉の使用が増え,使用される調味品類の数も増えていた。
著者
頓所 希望 赤松 利恵 齋木 美果 小松 美穂乃 井邉 有未 渡邉 紗矢
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.46-52, 2021-02-01 (Released:2021-04-05)
参考文献数
26

【目的】外食産業の食品ロスは食品産業で最も多く,およそ半分が食べ残しである。本研究は,健康的な食環境整備と食べ残し削減の取組を促進するため,外食事業者の食べ残し記録の取組状況と提供量や食べ残しに対する態度を検討した。【方法】2019年5月に実施した外食事業者を対象としたインターネット調査で得た398人のデータを利用した。「食べ残し記録」の取組は「計測・記録」群,「目測・記録」群,「目測のみ」群,「把握なし」群の4群とした。属性,食べ残しの有無,食品ロス削減の取組状況,提供量と食べ残しに対する態度を「食べ残し記録」の取組4群で比較した。態度は,「提供量は食べる量に影響する」などの7項目を質問し,「肯定」「否定」の2群とした。各質問項目の群別比較は,χ2 検定を用いた(有意水準5%未満)。【結果】「計測・記録」群11人(2.8%),「目測・記録」群52人(13.1%),「目測のみ」群232人(58.3%),「把握なし」群103人(25.9%)であった。4群間で属性などを比較した結果,「計測・記録」群は,従事年数が長く(p=0.009),食品ロス削減の取組を行い(p<0.001),量より味を重視する態度をもっていた。【結論】食べ残しを計測し記録している外食事業者は5%未満であり,その事業者は従事年数が長く,食品ロス削減の取組を行っており,適量提供に対して望ましい態度をもつことが示唆された。