著者
頓所 希望 赤松 利恵 小松 美穂乃
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.169-176, 2022-06-01 (Released:2022-07-06)
参考文献数
26

【目的】本研究は,飲食店における健康な食環境整備の推進を目指し,健康な食事は売れないと考える飲食店経営者の特徴および健康な食事提供に対する障壁と健康な食事に対する信念を検討した。【方法】2019年5月に外食事業者を対象にインターネット調査から得た387人のデータを用いた。健康な食事は「売れる」「売れない」の2群とし,対象者および店舗の属性の比較にはχ2 検定,健康な食事の提供に対する障壁と健康な食事に対する信念はMann-WhitneyのU検定,障壁と信念の関係はSpearmanの順位相関係数を用いて検討した(有意水準5%未満)。【結果】「売れる」群240人(62.0%),「売れない」群147人(38.0%)であった。「売れない」群は,「売れる」群に比べ,利用客の8割以上が勤務者の店舗(p=0.037),利用客に男性の方が多い店舗が多く(p=0.001),健康な食事提供は「商品単価が上がる」「味が落ちる」「作業効率が悪い」「ボリューム感がなくなる」と考える得点が高かった。健康な食事に対する信念は,「低エネルギー・低脂質・減塩」の得点が高かった(p<0.001)。【結論】健康な食事を売れないと考える飲食店経営者は,健康な食事に対して不合理な信念をもち,これらの信念は,各飲食店の顧客の特徴に影響されている可能性が示唆された。
著者
頓所 希望 赤松 利恵 齋木 美果 小松 美穂乃 井邉 有未 渡邉 紗矢
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.46-52, 2021-02-01 (Released:2021-04-05)
参考文献数
26

【目的】外食産業の食品ロスは食品産業で最も多く,およそ半分が食べ残しである。本研究は,健康的な食環境整備と食べ残し削減の取組を促進するため,外食事業者の食べ残し記録の取組状況と提供量や食べ残しに対する態度を検討した。【方法】2019年5月に実施した外食事業者を対象としたインターネット調査で得た398人のデータを利用した。「食べ残し記録」の取組は「計測・記録」群,「目測・記録」群,「目測のみ」群,「把握なし」群の4群とした。属性,食べ残しの有無,食品ロス削減の取組状況,提供量と食べ残しに対する態度を「食べ残し記録」の取組4群で比較した。態度は,「提供量は食べる量に影響する」などの7項目を質問し,「肯定」「否定」の2群とした。各質問項目の群別比較は,χ2 検定を用いた(有意水準5%未満)。【結果】「計測・記録」群11人(2.8%),「目測・記録」群52人(13.1%),「目測のみ」群232人(58.3%),「把握なし」群103人(25.9%)であった。4群間で属性などを比較した結果,「計測・記録」群は,従事年数が長く(p=0.009),食品ロス削減の取組を行い(p<0.001),量より味を重視する態度をもっていた。【結論】食べ残しを計測し記録している外食事業者は5%未満であり,その事業者は従事年数が長く,食品ロス削減の取組を行っており,適量提供に対して望ましい態度をもつことが示唆された。