著者
京坂 紅 割田 悦子 中西 京子 太田 池恵 高塚 直能 深澤 義輝 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.185-190, 2021 (Released:2021-05-31)
参考文献数
20

本邦のメサドン適正使用ガイドには,SAG法(先行強オピオイドをすべて中止してメサドンを開始する方法)が記載されている.当センター緩和ケア科では,詳細な評価のもと,メサドンを先行オピオイドに追加で導入した後に,先行オピオイドの漸減・中止する投与法を行っている.今回,この投与法を行った28例について,臨床的意義を考察した.28例中20例(71.4%)でメサドンは至適用量に達し,痛みの増悪や深刻な有害事象なく,メサドンのタイトレーションを安全に行うことができた.ただし,本方法が安全に行われるには,半減期が長いメサドンの薬理学的特性に留意し,メサドン導入後の鎮痛効果と有害事象についての詳細な評価と薬剤調整が必要であると考える.
著者
齋藤 美也子 間宮 敬子 笹田 豊枝 中西 京子 阿部 泰之 岩崎 寛
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.E1-E5, 2015 (Released:2015-04-18)
参考文献数
14

p.505 著書所属 誤:2) 旭川医科大学 教育センター 正:2) 旭川医科大学 教育センター(現 信州大学附属病院 信州がんセンター 緩和部門)p.508 著者所属 誤:2) Education Center, Asahikawa Medical University 正:2) Education Center, Asahikawa Medical University(currently Division of Palliative Medicine, Shinshu University Hospital Shinshu Cancer Center)
著者
中西 京子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第56回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.147, 2007 (Released:2007-12-01)

〈緒言〉手術時の手洗いは感染防止の上で重要な行為の一つとされている。現在,術前の手洗いは滅菌水によって行なわれているが,諸外国では消毒薬と水道水による手洗いが行なわれているのが現状である。2005年2月医療法の一部が改正され手術時手洗いに水道水が認められた。当院手術室は築40年で建物に老朽化が目立つが,月2回の水道水の細菌培養検査と連日PDP法による残留塩素濃度測定を行い水道法に基づいた水質基準は満たされている。現状では、手洗いに滅菌水を使用しているが,今後,手術室新築に向けて手術時手洗いに,コストのかかる滅菌水を使用する必要性があるのか検討しなければならない。そこで、今回水道水と滅菌水を用い,2002年CDCガイドラインで推奨されたアルコール擦式手指消毒剤による手術時手洗い=ウォーターレス(ラビング)法よる手洗い後の手指のコロニー数をパームスタンプ法で比較した。その結果、両者に有意差は認められなかった。<方法・対象>1.水道水使用時の処理:使用前に水道水を1分程度流水し、その後蛇口のみ薬液消毒(0.5%クロルヘキシジン)に5分浸水。2.ウォーターレス手順:1)予備洗い:非抗菌性石鹸にて素洗い(爪ピック使用)2回1~2分。2)非滅菌タオルで拭く。速乾性手指消毒薬による消毒:_丸1_速乾性擦式製剤(クロルヘキシジン)にてラビング2回2~3分。_丸2_最後に両指先のみラビングする1分<合計4~6分>3.手指コロニー数測定方法:当院手術室看護師10名に水道水(A群)と滅菌水(B郡)でウォーターレス(ラビング)法にて手洗い施行。手洗い後の手指のコロニー数をパームスタンプ法にて検出した。4.水道水と滅菌水の塩素濃度を比較した。5.当院の滅菌水管理に関わる費用の検討を行なった。<結果>手洗い前の両手掌にはCNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)、バチルス属が検出されたが,各水道水,滅菌水にてウォーターレス手洗い後,水道水では菌は検出されず,滅菌水で1名のみCNSが1コロニー検出された。当院の手術部水道水の残留塩素濃度は0.2ppm~0.3ppm、滅菌水は0.05ppmだった。年間の滅菌水の管理費用は年間約70万円である。ウォーターレス法は、従来のブラシを使う方法より手技時間が4~6分と短く手荒れが少なく,手技に伴うコストは1回が約25円で、従来の方法は177円だった。(電気,水道代,滅菌水代は除く)<考察>手術時の手洗いに使用する水については、水道水あるいは滅菌水かで議論がされている中、飲料水の水質基準は残留塩素濃度が0.1ppm以上と規定されており、滅菌水と異なって殺菌剤が添加されることを考慮すれば滅菌水より消毒効果は優れているという考えもある。今回、滅菌水で1名のみCNSが1コロニー検出されたのは、手技の問題だと思われる。藤井氏らによると手術時手洗いに滅菌水を使用する効果は見られなかった。また,水の品質に差があっても、手洗い後の手指の微生物数に有意差がなければ、手術部位感染に影響はないだろうという仮説の実証が一定の科学的根拠となると述べている。今回の結果から,十分に管理された水道水であれば手術時の手洗いに使用することは可能と考えられる。また,当院の滅菌水の年間管理費は約70万円であるが,手洗い効果に及ぼす影響に差がなければ敢えてコストのかかる滅菌水を使用する必要性はないと考えられる。<まとめ>今後は手術室新築に向けて経済性や効率性も考えて,手洗い水の検討をしていく必要性があると思われる。
著者
中西 京子 大崎 能伸 中尾 祥子 徳差 良彦 三代川 斉之 菊池 健次郎
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.55-59, 2002-02-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2 3

背景. 悪性腫瘍の自然退縮はまれな現象で, 原発性肺癌での報告は極めて少数である. 我々は, 自然縮小した肺小細胞癌の1例を経験したので報告する. 症例.65歳, 男性. 呼吸困難を主訴に前医を受診した. 胸部異常陰影を認め精査のため当科に紹介された. 胸部X線写真と胸部CTにて右S6の結節影と右肺門の腫瘤陰影を認めた. 経気管支擦過細胞診では悪性細胞を認めなかった. 臨床経過より悪性腫瘍を疑いCTガイド下で経皮的穿刺吸引細胞診を施行し, 肺小細胞癌と診断した. 放射線治療同時併用化学療法を予定し, 全身検索を行っていたところ4週間前の胸部X線写真, 6週間前の胸部CT写真と比較して, 結節影と肺門部腫瘤はともに縮小していた. 腫瘤縮小時の血液検査ではNK細胞活性が高値であった. 肺小細胞癌としては非定型的な経過のため本人の同意を得て右S6の結節影の胸腔鏡下生検を施行し, 病理組織学的にも肺小細胞癌と診断した. その後, 右肺門部リンパ節の増大を認めたため, 放射線治療同時併用化学療法を施行した. 縮小率は75%であり, 効果は有効であった. 現在も再発の徴候なく外来で経過観察中である.結論.悪性腫瘍の自然退縮の機序は未だ明らかではない. 本症例では, 宿主の免疫能, 穿刺検査や放射線の影響など様々な要因が重複し肺小細胞癌が自然に縮小したと考えられる. 悪性腫瘍の自然退縮例の機序の詳細な解析が今後の癌治療または予防の手がかりとなる可能性もあり得る.