著者
吉川 裕之 八杉 利治 高塚 直能 前田 平生
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

子宮頸がん患者と健常者対照を比較する症例対照研究が進行中であるが、今回は、子宮頸がん患者と子宮頸部異形成(CIN1/2)者におけるHLA遺伝子多型の比較を行い、子宮頸がんにおけるHLA遺伝子多型のリスクを明らかにすることを目的とした。本研究は国内9施設における多施設共同研究である。目標数は子宮頸がん症例400例、対照400例で平成21年12月までの登録を予定している。平成20年2月時点で子宮頸がん患者登録数は80名である。現段階では、健常人の対照との比較ができる段階ではないので、過去のコホート研究で、同一9施設で採取したCIN I/II(前癌病変)患者454名を対照として解析を行った。1) HLAクラスIIアレルの地域差保有率の地域差を認めたのは DRB1*0301、DRB1*0405、DRB1*0803、DQB1*03、DQB1*0401、DQB*0601、DQB*0602であった。2) 子宮頸癌患者(Case)とCIN I/II患者(Control)でのHLAクラスIIアレルの差CaseとControl群間で差が認められたのはDRB1*1302、DQB1*0604であった。さらに、子宮頸がんに対するHLA遺伝子多型のリスクを明らかにするため、通常のロジスティック回帰分析と地域でマッチさせた条件付ロジスティック分析によりオッズ比を求めた。子宮頸がんリスクを上げるHLAタイプとしてDRB1*0701とマージナルではあるがDQB1*0202が、またリスクを下げるタイプとしてDQB1*0604とマージナルなものとしでDRB1*1302の関与が示唆された。これらの中で、CIN I/II の CIN IIIへの進展を阻止するものとして有意であったDRB1*1302は、今回の症例対照研究でも子宮頸がん患者に有意に少ないことが判明した。
著者
京坂 紅 割田 悦子 中西 京子 太田 池恵 高塚 直能 深澤 義輝 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.185-190, 2021 (Released:2021-05-31)
参考文献数
20

本邦のメサドン適正使用ガイドには,SAG法(先行強オピオイドをすべて中止してメサドンを開始する方法)が記載されている.当センター緩和ケア科では,詳細な評価のもと,メサドンを先行オピオイドに追加で導入した後に,先行オピオイドの漸減・中止する投与法を行っている.今回,この投与法を行った28例について,臨床的意義を考察した.28例中20例(71.4%)でメサドンは至適用量に達し,痛みの増悪や深刻な有害事象なく,メサドンのタイトレーションを安全に行うことができた.ただし,本方法が安全に行われるには,半減期が長いメサドンの薬理学的特性に留意し,メサドン導入後の鎮痛効果と有害事象についての詳細な評価と薬剤調整が必要であると考える.
著者
髙木 健司 高塚 直能 佐々木 翼 森 香津子 小川 直美 伊藤 慎二
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.69-75, 2018 (Released:2018-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

【目的】当院は精神科医が非常勤であり,患者の精神状態の評価は各医療者の主観的判断となっていた.そこで,抑うつをスクリーニングし専門医への連携に繋げる目的でPatient Health Questionnaire(PHQ)-9を導入したため,後方視的に検討した.【方法】2016年1月1日〜10月31日までに緩和ケア病棟に入院した全患者を対象とした.入院時にPHQ-9を行い,10点以上を抑うつありとした.精神科医の診断(P)と照合した.【結果】対象期間中に延べ83名が入院し,50名に施行し得た.PHQ(−)・P(-)32名,PHQ(+)・P(-)7名,PHQ(-)・P(+)2名,PHQ(+)・P(+)9名であった.P(+)11名であり,PHQ-9の抑うつに対する感度,特異度は81.8%,82.1%であった.【結論】緩和ケア病棟入院時においても,抑うつのスクリーニングとしてPHQ-9の有用性が示唆された.
著者
高塚 直能 長瀬 清
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、乳がん手術の待機期間に影響する要因について検討した。病期分類3の場合、病期分類0、1 、2に比べて待機期間の最大値が短く、我が国では重症例に対し先延ばしにしないという傾向を示唆するものであった。ただし、多変量解析では病期について有意な係数は得られなかった。また待ち行列理論の適用しモデル化を試みたが、流入率が流出率を上回ることがあり、流入率が流出率を上回らないとする理論から逸脱するため、適用は断念した。
著者
伊藤 宣則 清水 弘之 吉村 健清 橋本 勉 早川 武彦 篠原 力雄 高塚 直能 徳井 教孝 笠松 隆洋 鈴木 康司
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.427-434, 1997-09-25
被引用文献数
5

Relationship between serum levels of lipid peroxides and carotenoids among the subjects randomly selected from the residents living in T-city, Gifu (GT), T-town, Wakayama (TW), H-city Hiroshima (HH), S-town, Fukuoka (SF), and Y-town, Hokkaido (HY) was investigated cross-sectionally. It was demonstrated that serum levels of β-carotene or cryptoxanthin were higher for GT and HY residents or for WT residents, while serum levels of lipid peroxides estimated by the thiobarbituric acid-reactive substances (TBARS) were lower for GT and HY residents, respectively. Moreover, there were some regional differences that serum levels of carotenoids such as β-carotene were inversely associated with serum TBARS levels for the residents, but not for HH residents with encumbrances of Japanese Americans. Serum TBARS levels were positively and significantly related with serum levels of n-3 unsaturated fatty acids such as icosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid, which were high intake in Japanese, but not significantly with serum levels of n-6 unsaturated fatty acids such as arachidonic acid.