著者
佐藤 暢人 岩井 和浩 狭間 一明 京極 典憲 細井 勇人 溝田 知子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.346-351, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
4 6

症例1は69歳の男性で交通外傷にて搬送され,腹腔内遊離ガスを認めたが,腹部症状を伴わず,経過観察を行った.入院後,発熱と炎症反応の亢進を認めた.症例2は40歳の女性で腹痛にて搬送され,腹腔内遊離ガスを認めた.症例3は90歳の男性で発熱と呼吸不全にて搬送され,精査目的の画像検査で腹腔内遊離ガスを認め,腹部に圧痛を伴った.症例4は86歳の男性で肺癌多発転移の疼痛管理目的に入院中,精査目的の画像検査で腹腔内遊離ガスを認め,腹部に圧痛を伴った.4症例とも,消化管穿孔を否定できず,手術を施行したが,術中所見で消化管穿孔を認めず,特発性気腹症と診断した.症例5は50歳の女性で肝血管腫の経過観察のCTで腹腔内遊離ガス像を認めた.腹部所見は軽度で炎症所見も認めず,特発性気腹症と診断して経過観察を行い,症状の増悪なく退院に至った.比較的まれな特発性気腹症の5例を経験したので検討を加えて報告する.
著者
仲澤 順二 新関 浩人 京極 典憲 楢﨑 肇 上村 志臣 八木 優樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.575-579, 2022-07-15 (Released:2022-07-15)
参考文献数
8

胸水ドレナージ後の稀な合併症の一つにEx Vacuo Pneumothoraxというものがある.これは慢性胸膜炎により脆弱化かつ硬化した臓側胸膜が,胸水を抜かれた空間に生じる陰圧によって,損傷し発症する気胸である.当院では,過去10年でこのEx Vacuo Pneumothoraxを2例経験した.両症例とも悪性胸水ドレナージ後,肺が全拡張できずに気胸を発症した.悪性胸水に生じたEx Vacuo Pneumothoraxの治療方法は議論のあるところであるが,自験例は耐術能があり,エアリークも多かったため外科治療を行った.両症例とも胸腔鏡で胸腔内を確認すると肺にブラはなく,気瘻が複数認められた.癌性胸膜炎に伴う臓側胸膜の脆弱化を考慮して,気瘻部位の切除は行わずに,タコシールやネオベールシートなどで補強して手術を終了し,エアリークをコントロールすることができた.