著者
山本 啓二 Keiji Yamamoto 京都産業大学文化学部
出版者
京都産業大学総合学術研究所
雑誌
京都産業大学総合学術研究所所報 (ISSN:13488465)
巻号頁・発行日
no.10, pp.49-57, 2015-07

11世紀のカイロで医者として活躍したアリー・イブン・リドワーンは,プトレマイオスによる占星術書『テトラビブロス』に対してアラビア語で全文註解を施している。この『テトラビブロス註解』は13世紀にラテン語に翻訳され,さらに15世紀には印刷され,広くラテン世界にも知られるようになった。アリーはその註解を書く際に,フナイン・イブン・イスハークによるアラビア語版を用いていた。筆者は現在フナイン版テキストの校訂版を準備しているが,その場合に,13世紀以降のものしか残っていないフナイン版の写本以外に,11世紀にアリーによって註解書に引用されたフナインのテキストも参照すべきであることを認識するに至った。
著者
加野 まきみ ゴーベル ピーター Makimi KANO Peter GOBEL 京都産業大学文化学部 京都産業大学文化学部
出版者
京都産業大学総合学術研究所
雑誌
京都産業大学総合学術研究所所報 (ISSN:13488465)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-11, 2012-07

本稿では,本学文化学部における初年次必修英語科目内で一年を通して行ったRWL(聞きながら読む)学習プログラムの計画・実施からその有効性の検証までを概説する。230名の文化学部1年次生がこのプログラムに参加した。この学習法は,英語学習者が個々の単語に注目するのをやめて,より大きな単位でテクストを理解し,まとまった長さの英文を聞けるようになるために開発された。大量の英文を聞くというのは日本人英語学習者の大部分に欠けている練習である。学習者の英語運用レベルにかかわらずこのプログラムに参加できるよう,CD付きのグレーディッド・リーダーを使用した。本プログラムを支える理論や実践,学生の学習記録の保存・管理に役立つMoodleReaderの機能を紹介し,運営上の問題点についても述べる。プログラムの有効性を検証した結果,RWLの学習量はリーディング・スピードや語彙認識の向上に寄与することを示している。 This manuscript describes the results of a year-long Reading While Listening(RWL)program run for university first-year English students at Kyoto Sangyo University. A total of 230 ESL learners participated in the program. The program was developed to help L2 readers shift attention from individual words to the syntax and semantics of the written text, and to give students practice in listening to spoken English at length- a practice that the majority of Japanese students lack. To make the program accessible to low-level learners, graded readers with accompanying CDs were used. The theory and practice of program, and the Moodle module that keeps records of student progress(MoodleReader)are described, along with some of the administrative and logistical problems encountered. The results of the program suggest that the amount of RWL had a significant and positive effect on both reading speed and vocabulary recognition.
著者
山本 啓二 Keiji Yamamoto 京都産業大学文化学部
雑誌
京都産業大学総合学術研究所所報 (ISSN:13488465)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.49-57, 2015-07

11世紀のカイロで医者として活躍したアリー・イブン・リドワーンは,プトレマイオスによる占星術書『テトラビブロス』に対してアラビア語で全文註解を施している。この『テトラビブロス註解』は13世紀にラテン語に翻訳され,さらに15世紀には印刷され,広くラテン世界にも知られるようになった。アリーはその註解を書く際に,フナイン・イブン・イスハークによるアラビア語版を用いていた。筆者は現在フナイン版テキストの校訂版を準備しているが,その場合に,13世紀以降のものしか残っていないフナイン版の写本以外に,11世紀にアリーによって註解書に引用されたフナインのテキストも参照すべきであることを認識するに至った。