著者
仁田 亮
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.133-139, 2014 (Released:2014-05-27)
参考文献数
14

Molecular motor kinesins move processively along microtubules by using energy derived from ATP hydrolysis. Almost all of the intermediate structures of this ATPase reaction cycle have been solved for the monomeric kinesin KIF1A. Based on this structural information, we present here the common atomic mechanisms of kinesin motility, which can be applied not only to the monomeric kinesins but also to the dimeric kinesins. Structural studies have suggested that kinesins accomplish their mission by utilizing the evolutionary conserved strategy among the various ATPases/GTPases/kinases in which they use the energy from the ATP/GTP hydrolysis to attach/detach to/from their effectors.
著者
仁田 亮
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.85-91, 2018-08-30 (Released:2019-08-01)
参考文献数
22

キネシンスーパーファミリータンパク質は,微小管上を一方向性に動く分子モーターである.その機能は,細胞内物質輸送に留まらず,染色体分裂の牽引,左右軸の決定,シグナル伝達の制御,線毛の長さの調節など多岐に渡っている.私はこれまで,X線結晶構造解析法やクライオ電子顕微鏡構造解析法を用いて,キネシンの多彩な機能を支える分子構造基盤を明らかにして来た.本解説では,微小管のプラス端方向へ順行性に動くKinesin-3,逆行性に動くKinesin-14,微小管を脱重合するKinesin-13,そして順行性に動き,かつ微小管を脱重合するKinesin-8の4種類の機能の異なるキネシンを取り上げ,それぞれの動作を支える構造基盤を概説する.キネシンは,微小管との結合・解離という基本の素過程を維持しながらも,微小管結合面の構造を改変したり,キネシンの動力部位の構造変化を増幅する構造を添加したりするなどして,多様な機能を獲得することができたと考えられる.