著者
柚本 玲 今井 綾乃 田中 辰明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.131, 2005 (Released:2005-12-08)

目的本研究では衣類のカビ汚染を防ぐために市販防虫防カビ剤の代替品として天然植物精油を使用することを目指した。精油は天然由来で生分解性が高いこと、市販されており入手しやすいなど居住者にとって利点が多い。そこで、気体状態でカビを発育阻止する市販の天然植物精油を選出し、効果の持続性、必要量、揮発成分の発育に対する影響を検討することを目的とした。方法衣類のシミから分離したCladosporium cladosporioides、Aspergillus nigerを供試菌としてpotato dextrose 寒天培地に植菌し、ペトリ皿(φ90 mm)内に0.1 mlの精油を含ませた滅菌ろ紙を培地に触れないように設置した。25℃で7日培養後に集落が目視確認できなければ”効果あり”とし、効果持続日数、必要量、精油揮発成分と発育阻止効果との関係を分析した。結果精油の揮発成分に室内空気汚染源となる物質は含まれていないことを確認した。両真菌に効果のあった精油は8種、C. cladosporioidesのみでは3種、A. nigerのみでは2種であった。両真菌を30日以上発育阻止した精油は7種、C. cladosporioides のみでは3種であった。そのうち、本実験の最少量である6μlで30日発育阻止した精油は、両真菌に対してLEMONGRASS、THYME、C. cladosporioidesに対してはROSEWOOD、A. nigerに対してはCINNAMON leafであった。発育阻止持続日数の短いつまり発育阻止効果の弱い精油の揮発成分放散量の方が効果の強い成分よりも多い傾向にあったことから、放散量が発育阻止効果に与える影響は小さいことを確認した。
著者
福永 陽 柚本 玲 今井 綾乃 田中 辰明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.238, 2004 (Released:2005-04-02)

<目的>衣類保管時に、市販防カビ・防虫剤を使用するが、それらの中にはシックハウスの原因の一つとされるパラジクロロベンゼンなどの化学物質が含まれているものも少なくない。一方、防カビ作用があるとされる天然物についての報告はあるが、居住環境中に見られる真菌に対する抗菌性の報告例は少ない。そこで本研究では衣類保管を想定し、衣類から分離した2種の真菌について、香味野菜の揮発成分による真菌の発育抑制効果を明らかにした。<方法>試料は香味野菜15種(ナガネギ・ショウガ・タマネギ・ニラ・セロリ・ミツバ・エシャロット・ローレル・サンショウ・カラシ・ワサビ・トウガラシ・シソ・パセリ・ローズマリー)。PDA培地にCladosporiumを三点培養したシャーレの蓋に、細かく砕いた試料を、培地に触れないように各1、3、5gずつ設置した。25℃で7日_から_30日間培養後、発育抑制効果により試料を以下のように分類した。_丸1_効果大;7日以上発育抑制。_丸2_効果小:7日未満で発育確認。<結果>ナガネギ・タマネギ・エシャロット・ワサビ・カラシの5種が効果大であった。今回、ニラを除くすべてのユリ科の試料で効果大となった。ニラに関しては、試料の腐敗によるコンタミが見られたので、効果が見られなかったと考えられる。