著者
今井 靖親 高本 和昌
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.245-262, 1991-11-25

The purpose of this study was to examine the readability of Japanese sentences. Experiment I was conducted in order to test the effect of the percentage of Chinese charcters and the presentation of the theme in the sentences on the subjects' reading time. The subjects were 60 college students. On the basis of the percentage of Chinese characters in the sentences and the presentation of the theme of the sentences, they were randomly assigned to one of the following six groups : High-theme, High-no theme, Middle-no theme, Non-theme, Non-no theme. They were asked to read the sentences shown by a slide projector on a paper and the time to read the sentences was recorded. For the subjects of the 'theme' groups the theme was told before they started reading the sentences. The reading time in the High groups was significantly shorter than that in the 'Non'groups. This suggests that the words written in Chinese characters in the sentences have facilitating effect on the readability of the Japanese sentences. No significant difference was observed between the 'theme' groups and the 'no theme' groups. The result made it clear that there were very similar words like the theme in the sentences shown for the 'no theme' groups. Experiment 2 was designed in order to test again the effect of the presentation of the theme on the subjects' reading time. The subjects were 20 college students. They were asked to read the sentences written only in hiragana (not containing Chinese charcters) on a paper. The 'theme' group took more reading time that in the 'no theme' group, but in reading the sentences the subjects of the 'theme' group made fewer mistakes than the subjects of the 'no theme' group. The findings suggest that the theme presented for the subjects facilitated to recognize the words in the sentences. but it took more time for them to correspond the contents or the words of the sentences with the theme.
著者
今井 靖親
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.18, pp.109-116, 1982-03-23

本研究の目的は、幼児の文字意識の発達を実験的に検討することであった。そのために、幼児が文字の表記的特徴をどの程度理解しているかが調べられた。被験者は保育園の3歳児・4歳児・5歳児各40名、合計120名であった。まず、ウォーミングアップ課題として、被験者に絵と文字の弁別をさせた後、文字選択課題において次の(1)~(5)のタイプ別に文字カードを選択させ、年齢別に選択者を比較した。(1)見慣れた文字と見慣れない文字(2)単一の文字と複数の異なった文字の配別(3)単一の文字と複数の同じ文字の配列(4)複数の異なった文字の配列と複数の同じ文字の配列(5)直線的な配列と非直線的な配列。さらに、読字力と文字意識の発達的関連を調べるために、4歳児・5歳児に平仮名の読字力テストを行ない、その中の読字力高群と低群について、文字選択課題の成績を比較した。主な結果は次のとおりである。(1)就学前の幼児は、年齢が高くなるにつれて自分の周囲にある文字を「文字」として認識するようになる。(2)「文字言語」の表記的特徴である「複数の異なったもの(記号)が、直線的に連続して書かれ(印刷され)ている」ことについては,3歳の幼児でも、すでに或る程度理解可能な発達水準に達している。(3)4~5歳児では、平仮名の読みをほとんど習得していない幼児でも、すでに習得している者と同じ程度に、上記の「文字言語」の表記的特徴を理解している。へき地教育研究室報告特集12
著者
滝野 千春 今井 靖親 藤田 正
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.12, pp.65-78, 1976-03-25

本研究は家庭生活,学校生括,社会生活に関する11項目から成る質問紙を用い,いわゆる「へき地」における中学生と親の生活意識を比較・検討し,その特徴を明らかにすることを目的としておこなわれた。調査対象は奈良県吉野郡上北山村上北山中学校生徒82名とその両親153名である。得られた主な結果を要約すれば次のとおりである。(1)理想の父親像として,中学生は家庭的な父親をあげているのに対し,親は仕事に専念する父親をあげていて,両者の間には著しい差異が認められた。(2)理想の母親像としては,中学生も親も「家庭生活を何より大切にする母」をあげている。(3)子どもが将来親にしてあげたいと思っていることと,親が子どもにしてほしいと思っていることとを比較すると,「親に心配かけないようにする」ということでは一致しているが,経済的扶養については,両者の間に顕著な相違が見られた。(4)子どもが学校で得たいと思っているのは,主として「心をうちあけて話せる友人や教師」であるのに対し,親はわが子が学校で「教養」を身につけることを期待している。(5)中学生も親も地域への愛着度はかなり高い。その理由は自然環境のよさと人情のあつさにあるように思われる。しかし,生活の不便さや高物価,つき合いのわずらわしさなどは,共通して地域への不満となっている。(6)この地に永住を希望する者の割合は,中学生より親に多かった。また女子中学生より男子中学生のほうに移住希望者が有意に多かった。(7)現代の日本社会への不満は,中学生では「正義のとおらぬこと」や「貧富の差があること」にあるが,親では「国民の意見の分裂」や「まじめな者が報われないこと」に向けられている。(8)中学生も親も,生活態度として,「金や名誉を考えずに自分の趣味にあった暮し方」をすることや,「世の中の不正と戦い,清く正しく生きること」をあげているが,「その日,その日をのんきに暮す」という者は中学生よりも親に多く,男子中学生より女子中学生に多い。(9)中学生は親しい友人や仲間といる時や,スポーツや趣味にうちこんでいる時に生きがいを感じると答えたのに対し,親は「仕事に打ちこんでいる時」,「家族といる時」をあげている。また子ども自身が将来自分がなりたいと願っているものと,親が子どもに期待する人間像とでは,両者に大きなくいちがいが見られた。へき地教育研究室報告特集6
著者
今井 靖親 中村 年江
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-33, 1990-03-01

幼児の養育にあたっている親が、子育てに関してどのような悩みや不安を抱いているかを、質問紙を用いて調査を行なった。食事に関する悩みと情緒に関する悩みが最も多かった。年齢段階から考えて、正常な発達の姿だと思われるような行動が問題視されている。祖父母との同居の有無によっても親の悩みに違いがあることが明らかになった。