著者
齊藤 由衣子 山内 洋一郎
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-9, 1996-03-01

教育基本語彙の一つである「友だち」は、「友」と複数を示す接尾語「たち」によってできている。それが、現代では「A君は僕の友だちだ」といった単数を表す用法が用いられる。本来複数を表していた「友だち」は、汎称としての「友」の領域を侵し、単数を表すようになり、複数としての意味が薄れていく。「友だち」は以上のような語史をたどり現代に至る。
著者
北川 尚史
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.43-54, 1985-03-23

へき地教育研究室報告特集15
著者
豊田 弘司
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.35, pp.71-75, 1999-03-01

549名の大学生を対象に「女性から嫌われる男性」「女性から嫌われる女性」「男性から嫌われる男性」及び「男性から嫌われる女性」の特徴としての適合性に関する評定尺度を用いた調査を行った。その結果、異性から嫌われる特徴として「不潔」が男女ともに嫌われる特徴として共通するものであった。また、「暴力的」である男性が女性から嫌われる傾向が顕著であることが示された。同性から嫌われる特徴としては、「性格に裏表がある」が男女に共通する特徴としてあげられ、女性同士の関係においては「異性の前で態度が違う」ことが嫌われる特徴として強く意識されていることが示された。
著者
豊田 弘司
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.121-127, 1998-03-01

291名の大学生を対象に「女性から嫌われる男性」「女性から嫌われる女性」「男性から嫌われる男性」及び「男性から嫌われる女性」の特徴を3つずつ自由記述する調査を行った。「女性から嫌われる男性」の特徴としては「不潔」「しつこい」、「女性から嫌われる女性」の特徴としては「自分勝手・わがまま」「異性の前での態度が違う」、「男性から嫌われる男性」の特徴としては「自分勝手・わがまま」「暗い」、「男性から嫌われる女性」の特徴としては「自分勝手・わがまま」「暗い」「うるさい・おしゃべり」が上位項目としてあげられた。また、男子学生と女子学生の回答の違いや恋愛経験による回答の違いが示唆された。
著者
坂口 杲一
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55-58, 1982-03-23

へき地教育研究室報告特集12
著者
杉村 健 吉田 毅
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.33-42, 1986-03-23

研究Iでは、小学2、4、6年生を用いて、京大NX知能検査の下位テストである「日常記憶」の得点が高い者は低い者に比べて、国語、社会、算数、理科の4教科すべての成績がよく、記憶力が学業成績の重要な規定因であることを示した。記憶力と成績の関係は学年と教科によって若干異なっており、例えば、国語と記憶力の関係は2年生よりも4、6年生で強いことが示唆された。記憶力が高い者の学業成績の標準偏差は小さく、記憶力が低い者の標準偏差が大きいことからみて、記憶力が高い場合は高い学業成績を予測できるが、低い者については学業成績が予測しにくいといえる。研究IIでは、数学の学習塾に通っている中学3年生の子どものうちで、小学6年生のときに実施した京大NX知能検査の数因子よりも空間因子の偏差値が5点以上低い者2名(S.Y.とA.H.)と高い者1名(Y.Y.)を選び出し、その指導過程を紹介するとともに、計算を主とするテストの成績と図形を主とするテストの成績(いずれも塾で実施)を中学1年と2年のときに比較し、中学3年のときに再び知能検査を実施した。S.Y.は、小学6年と中学3年の知能検査がともに数因子>図形因子であって、数学の成績も1年生、2年生ともに計算>図形であり、知能の因子と数学の成績の間に完全な対応がみられた。事例A.H.は、小学6年では数因子>空間因子であり、中学1年の成績はそれに対応して計算>図形であったか、中学2年では計算<図形に変わり、それに応じて知能の因子は数因子=空間因子となった。事例Y.Y.は、小学6年、中学3年ともに知能検査では数因子<空間因子であったのに、数学の成績は中学1、2年ともに計算>図形であって知能の因子との対応はみられなかった。数因子と空間因子の偏差値の差があまり大きくない場合には、数学の成績との対応関係があまり明確ではないことが示唆された。
著者
田村 浩子 長戸 優美 中山 ながこ 田辺 正友
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.85-93, 1995-03-01

幾何学的な単一図形の組み合わせからなる種々の模写図形課題を設定し、2次元形成期から3次元可逆操作期の自閉症児および精神遅滞児の図形の視知覚把握様式と模写表現の発達的変化についての検討がなされた。模写表現能力は発達の高次化に伴って高まるが、自閉症児が模写表現能力が高いといった傾向性が示された。視知覚把握様式の問題は、組み合わせ図形の構成要素と布置関係との問題と関連させてさらに吟味する重要性が示唆された。
著者
杉村 健 多喜 裕美
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.79-91, 1991-03-01

2、4、6年生の国語と算数の宿題について組織的に調査を行なった。学年が進むにつれて、宿題に要する時間、宿題をいつもしている者、学習塾に通っている者は増加するが、宿題が好きな者、宿題が成績の向上や授業の理解に役立つと考えている者、復習や予習をする者は減少する。男女差は国語の方が大きい。成績と宿題との関係は2年生よりも4、6年生で強い。成績の良い者は良くない者と比べて、宿題をいつも、自分から進んでしており、2年生では親に見てもらう者が少なく、国語の予習をし、算数の宿題が役に立つと考えている。
著者
杉村 健 清水 益治
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.45-51, 1988-03-01

FIGHT日文式学習意欲診断検査を用いて、中学生の学習意欲と学業成績の関係を調べた。学習意欲の現れ方では集中力、回復力、および学習への主体性が学業成績と関係が深かった。持続力は男子の学業成績と関係があった。学習意欲の要因では学習達成動機、学習への興味、学習への価値感が学業成績と関係があったが、学習の自己能力感は関係がなかった。学習意欲を支える要因としては答案の利用法が学業成績と関係が深かった。
著者
山本 敏久 杉村 健
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.119-124, 1996-03-01

宿題を忘れた級友が叱責されるという仮想場面で、小学2、4、6年生の反省の程度を調べた。すべての場面で学年とともに反省の程度が減少した。4、6年生では、叱責に対して反発する子どもよりも萎縮する子どもの方が反省するが、宿題を忘れた理由を聞くと、前者の子どもの反省が促された。教師の機嫌が悪いからと認知する子どもよりも、励ますためと認知する子どもの方が反省するが、理由を聞くと前者の子どもの反省が促された。反発感情と機嫌認知、萎縮感情と励まし認知はそれぞれ反省に対し類似した効果があった。
著者
奥 忍
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-9, 1988-03-01

明治以降、西洋音楽が公教育の中に積極的に取り入れられるようになり、日本人の音感覚は次第に西洋化された。本稿は、大正時代に西洋音楽がどのように受容されたか、即ち、移入された西洋音楽はどのように伝統的音感覚の影響を受け、変化したか、について、アメリカ起源の3つの流行歌の音高を測定し、音程・音律を分析することによって明らかにしようと試みたものである。対象となった流行歌は第一節の全ての音の音高が測定され、音程はセントで整理される。結果は調性感の視点から考察される。
著者
今井 靖親
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.18, pp.109-116, 1982-03-23

本研究の目的は、幼児の文字意識の発達を実験的に検討することであった。そのために、幼児が文字の表記的特徴をどの程度理解しているかが調べられた。被験者は保育園の3歳児・4歳児・5歳児各40名、合計120名であった。まず、ウォーミングアップ課題として、被験者に絵と文字の弁別をさせた後、文字選択課題において次の(1)~(5)のタイプ別に文字カードを選択させ、年齢別に選択者を比較した。(1)見慣れた文字と見慣れない文字(2)単一の文字と複数の異なった文字の配別(3)単一の文字と複数の同じ文字の配列(4)複数の異なった文字の配列と複数の同じ文字の配列(5)直線的な配列と非直線的な配列。さらに、読字力と文字意識の発達的関連を調べるために、4歳児・5歳児に平仮名の読字力テストを行ない、その中の読字力高群と低群について、文字選択課題の成績を比較した。主な結果は次のとおりである。(1)就学前の幼児は、年齢が高くなるにつれて自分の周囲にある文字を「文字」として認識するようになる。(2)「文字言語」の表記的特徴である「複数の異なったもの(記号)が、直線的に連続して書かれ(印刷され)ている」ことについては,3歳の幼児でも、すでに或る程度理解可能な発達水準に達している。(3)4~5歳児では、平仮名の読みをほとんど習得していない幼児でも、すでに習得している者と同じ程度に、上記の「文字言語」の表記的特徴を理解している。へき地教育研究室報告特集12
著者
滝野 千春 今井 靖親 藤田 正
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.12, pp.65-78, 1976-03-25

本研究は家庭生活,学校生括,社会生活に関する11項目から成る質問紙を用い,いわゆる「へき地」における中学生と親の生活意識を比較・検討し,その特徴を明らかにすることを目的としておこなわれた。調査対象は奈良県吉野郡上北山村上北山中学校生徒82名とその両親153名である。得られた主な結果を要約すれば次のとおりである。(1)理想の父親像として,中学生は家庭的な父親をあげているのに対し,親は仕事に専念する父親をあげていて,両者の間には著しい差異が認められた。(2)理想の母親像としては,中学生も親も「家庭生活を何より大切にする母」をあげている。(3)子どもが将来親にしてあげたいと思っていることと,親が子どもにしてほしいと思っていることとを比較すると,「親に心配かけないようにする」ということでは一致しているが,経済的扶養については,両者の間に顕著な相違が見られた。(4)子どもが学校で得たいと思っているのは,主として「心をうちあけて話せる友人や教師」であるのに対し,親はわが子が学校で「教養」を身につけることを期待している。(5)中学生も親も地域への愛着度はかなり高い。その理由は自然環境のよさと人情のあつさにあるように思われる。しかし,生活の不便さや高物価,つき合いのわずらわしさなどは,共通して地域への不満となっている。(6)この地に永住を希望する者の割合は,中学生より親に多かった。また女子中学生より男子中学生のほうに移住希望者が有意に多かった。(7)現代の日本社会への不満は,中学生では「正義のとおらぬこと」や「貧富の差があること」にあるが,親では「国民の意見の分裂」や「まじめな者が報われないこと」に向けられている。(8)中学生も親も,生活態度として,「金や名誉を考えずに自分の趣味にあった暮し方」をすることや,「世の中の不正と戦い,清く正しく生きること」をあげているが,「その日,その日をのんきに暮す」という者は中学生よりも親に多く,男子中学生より女子中学生に多い。(9)中学生は親しい友人や仲間といる時や,スポーツや趣味にうちこんでいる時に生きがいを感じると答えたのに対し,親は「仕事に打ちこんでいる時」,「家族といる時」をあげている。また子ども自身が将来自分がなりたいと願っているものと,親が子どもに期待する人間像とでは,両者に大きなくいちがいが見られた。へき地教育研究室報告特集6
著者
玉瀬 耕治 荒木 美早
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.29, pp.181-189, 1993-03-01

面接場面での連続する3つの質問のうち、初めの2つの質問が開かれた質問であるか閉ざされた質問であるかということと、それらの質問が難しい質問(親密値高)であるか易しい質問(親密値低)であるかの組合せによって4つの条件が構成された。最後の質問は親密値が中位の開かれた質問であった。大学生を用いて、これらの質問によって、全体の応答がどのように変化するかを検討した。その結果、難しい質問を開かれた形式で尋ねた場合に応答全体がもっとも長くなった。また、初めの2つの質問が閉ざされた質問の場合は、最後の質問での応答がより短くなった。