著者
今本 博臣 後藤 浩一 白井 明夫 鷲谷 いづみ
出版者
Ecology and Civil Engineering Society
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-14, 2003-08-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
12
被引用文献数
6 5

1998~2000年にかけて公団管理15ダムの無土壌岩盤法面で,植生調査および毎木調査を実施し,以下の結果を得た。調査区は無土壌岩盤が19カ所,林縁部が4カ所,対比区が3カ所であった.・外来牧草主体の緑化工を実施した地区は,施工後20年以上経過しても依然として外来牧草が優占しており,在来種への移行がほとんどみられなかった.・緑化工を実施していない地区は,施工後20年以上経過すると,アカマツ,ハリエンジュ,ハゼノキ,アカメガシワ,ヌルデ,リョウブ等の先駆性樹種を中心とした樹林に移行していた.・在来種の中ではアカメガシワ,リョウブ,アカマツ,ヌルデが,岩,れき質といった植生の生育基盤としてもっとも悪い場所においても良好な生育を示した.・無土壌岩盤法面における生育樹種は,基盤条件が大きな影響を与えているという傾向が見られた.・植物の多様度は,外来牧草主体の緑化工を実施した調査区で低く,緑化工を実施していない調査区および緑化工を実施した林縁部で高かった.
著者
今本 博臣
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.717-720,a2, 2013 (Released:2020-01-10)
参考文献数
5

藍藻類の異常増殖によるアオコが発生すると,灌漑用水は緑色に着色する。その水を農作物に散布した場合,葉物野菜や花に付着すると斑点が生じ商品価値を下げてしまうことがある。また,アオコが混入した水を散布する際に,噴霧器や多孔管などの穴が目詰まりする恐れもある。それ以外にも,景観障害や魚のへい死や悪臭なども懸念される。このような水質障害を軽減するための対策技術の確立が急務となっている。農業用貯水池の水質改善対策としてはさまざまなものが提案されているが,貯水容量が非常に大きく,しかも栄養塩濃度が高いという特殊性から適用可能な対策はきわめて限定的である。本報では,そのなかでも一定の改善効果が期待できる「曝気循環設備」,「滞留時間の短縮」,「干し上げ」,「バイパス水路」による水質改善について解説した。