著者
今村 幹雄 三上 幸夫 山内 英生
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.856-860, 1998-10-25
参考文献数
16

当科で扱ったクローン病症例27例中3例 (11%) で高アミラーゼ血症がみられたので, これらの症例につき検討した。症例1は23歳・男性, 小腸大腸型で胃・十二指腸病変も有し, 十二指腸狭窄に対し胃空腸吻合術がなされた。術前, S-Amy 281IU/lと高値を示したが, 上部消化管造影ではバリウムの膵管への逆流は認めなかった。症例2は34歳・女性, 大腸型で, 手術は難治性痔瘻に対しseton法によるドレナージ術を施行した。術後, 外来通院中, 妊娠時にS-Amy 264~273IU/lと高値を呈した。症例3は28歳・女性, 小腸大腸型で, 8年前, 狭窄に対し回腸部分切除と右半結腸切除を受け, 今回, 再燃による吻合部狭窄に対し吻合部切除がなされた。術前, S-Amy 293IU/l, リパーゼ131IU/l, トリプシン2830IU/l, 膵ホスホリパーゼA2 1230ng/dlといずれも高値を呈し, Caは8.1mg/dlと低値を示したが, CTおよびERCPでは異常所見はなかった。全例で腹痛など膵炎の臨床症状はみられなかった。
著者
今村 幹雄 高橋 広喜 國井 康男 山内 英生 中嶋 正彦
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.364-369, 2000 (Released:2009-06-05)
参考文献数
19

クローン病と精神疾患の合併について欧米では以前から指摘され,機序については,近年,精神神経免疫学的観点からの説明が試みられているが,未だ明らかでない.当科でも精神疾患を合併したクローン病症例3例を経験した.2例は精神疾患先行で,1例はクローン病の経過中に発症した.症例1は38歳,男性,小腸大腸型クローン病.19歳時,幻聴,妄想,てんかん発作などが出現し,脳萎縮を有する器質性精神障害と診断された.21歳時,下痢でクローン病が発症し,3回の手術歴がある.症例2は32歳,男性,直腸肛門クローン病.19歳時,幻聴,妄想が出現し,精神分裂病と診断された.29歳時,発熱,肛門部出血などでクローン病が発症し,肛門周囲膿瘍の切開排膿を数回受ける.症例3は32歳,女性,小腸大腸型クローン病.17歳時,下痢でクローン病が発症し,回腸狭窄と痔瘻に対する手術歴あり.32歳時,精神的ストレス状況下で反応性神経症が発症す.