著者
今村 美邦子
出版者
京都文教短期大学
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.149-151, 2007

20世紀の芸術現象を読み解く上で道標とされたグリーンバーグのモダニズム論への修正はこれまでも為されてきたが、本論文では、特に彼のカント理解の不備を指摘し、彼の理論に影響を受けた著名な批評家フリード、クラウス、ド・デューヴ、ダントーの芸術論を検討している。そして、美の分析と美的理念の拡張などのカントの芸術理解の捉え直しを通して、それをモダンアートの理解へ適切にもたらすことを模索している。こういった試みは、今日では終焉したとも捉られる美学という学問の活性化にも道を拓くものであろう。
著者
今村 美邦子
出版者
京都文教短期大学
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.172-179, 2008

このワグナーの論文で取り上げられたC.ボルタンスキー(1944 〜)、S.ジガードソン(1943 〜)、A.キーファー(1945 〜)は、現在活躍中の造形作家であり、特に第三帝国に関わる歴史の記憶を物質的素材に留める作品を創作している。彼らは、高速で現実を複製し続けるメディア社会にあって、文字や画像だけに頼らない記憶の留め方を模索しつつ、忘却および既存の歴史概念に抵抗する素材を選び出し、そこに排斥され無にされた者達の証言を読みとろうとするのである。