著者
溝口 義人 鍋田 紘美 今村 義臣 原口 祥典 門司 晃
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.38-45, 2015 (Released:2017-02-16)
参考文献数
72
被引用文献数
1

がん,糖尿病,心血管疾患などの身体疾患,肥満など生活習慣病およびうつ病を含む精神疾患にはいずれも慢性炎症が病態に関与するとされる。心身相互に影響する共通の分子機序として,免疫系の関与が重要であるが,精神疾患の病態においては脳内ミクログリア活性化が重要な位置を占める。ミクログリアの生理的機能を解明しつつ,向精神薬の作用を検討していくことは今後も重要であり,うつ病を含む各精神疾患の病態仮説にかかわる BDNF の作用機序および向精神薬の薬理作用には細胞内 Ca2+シグナリングが関与すると考えられる。
著者
今村 義臣 木藤 恒夫 Yoshiomi Imamura
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.16-23, 2010-03-31

3名の女性共感覚者(F,K,Y)について,現象学的な調査と心理物理学的な実験を行った。3名に共通するのは,特定の数字や文字を見ることによって色の知覚が生じるという書記素・色共感覚である。ただし,3名には現象学的な違いがある。内省報告によれば,Fは「実際に色がついて見える」であり,Kは「頭に色のイメージが浮かぶ」であるという。心理物理学的な実験としては,ストループ課題とRamachandran & Hubbardが用いたポップアウト課題を実施し,一般の知覚者と比較した。ストループ課題では,FとYは逆ストループ干渉において,Kはストループ干渉において対照群との違いが見られた。ポップアウト課題では,共感覚者の正答率は一般知覚者のものより有意に高かった。これら2つの課題のパフォーマンスにより,両者における共感覚的な知覚が実証された。