著者
山辺 智子 田髙 悦子 臺 有桂 河原 智江 田口(袴田) 理恵 今松 友紀
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.63-69, 2013

目的:安全を推進するセーフティプロモーションは,健康を推進するヘルスプロモーションとともに地域看護において根幹をなす重要な概念である.しかしながらセーフティプロモーションに関する研究はまだ少ない.そこで本研究では,地域における事故や傷害の予防が課題である,都市部児童の視点による安心安全の構成要素を明らかにすることが目的である.方法:研究対象は,A市b区地域の公立小学校2校に所属する小学5年生の児童8人であり,研究方法はフォーカスグループインタビューによる質的研究である.結果:児童における安心安全の構成要素は,25サブカテゴリー,5カテゴリー,すなわち[いざというときに自分で身を守る行動]や[自分の命や人の命の大事さ]等からなる【児童の意識と価値観】,[危険な目に合わないための約束ごと]等からなる【児童と家族の規範】,[遊びや遊具使用中の不注意]等からなる【児童の遊具や道具】,[通学路での危険]等からなる【学校における集団生活と学習】,[顔のみえる関係][地域の人と学校の結びつき]等からなる【見守りのある地域】が抽出された.結論:児童の視点による安心安全の要素を勘案し,具体的なセーフティプロモーションの推進によって都市部におけるセーフコミュニティの実現へと発展させることが課題である.
著者
中村 瑛一 有本 梓 田髙 悦子 田口(袴田) 理恵 臺 有桂 今松 友紀
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.4-13, 2016 (Released:2017-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3

目的:父親と母親における親役割達成感の関連要因を明らかにし,今後の育児支援を行ううえでの示唆を得る.方法:2012年9~11月にA市B区福祉保健センターが行った,3歳児健康診査対象児の父親と母親各222人を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った.調査内容は,基本属性,親役割達成感,父親の育児支援行動(情緒的支援行動・育児家事行動),育児ソーシャル・サポート,過去の子どもとのかかわり等とした.父親と母親おのおので,親役割達成感を従属変数とした重回帰分析を実施した.結果:父親113人,母親144人の有効回答を得た.父親は,健診対象児の出生順位が低いほど,母親への情緒的支援行動が多いと認識しているほど,親役割達成感が高かった.また,「育児が思うようにいかない」と感じているほど,親役割達成感が低いことが示された.母親は,子どもをもつ前に子どもとふれあう機会があった場合や,父親からの情緒的支援行動が多いと認識しているほど,親役割達成感が高かった.また,健康状態が悪いほど,親役割達成感が低いことが示された.結論:父親と母親における親役割達成感の関連要因はおのおのに異なっていたが,父親から母親への情緒的支援行動の多さは共通の要因であった.父親の育児参加を促し,特に夫婦間の会話を多くもち,父親が母親の気持ちに寄り添う等の情緒的支援行動を促進させていくことは,父親と母親おのおのの親役割達成感を高めることが示唆された.
著者
今松 友紀 田高 悦子 Yuki Imamatsu Etsuko Tadaka
出版者
横浜市立大学医学部看護学科
雑誌
横浜看護学雑誌 = Yokohama journal of nursing (ISSN:18828892)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-8, 2012-03-31

本研究の目的は、文献検討により生活習慣病への介入と評価指標について調査し、地域における生活習慣病の一次予防プログラムの枠組みを明らかにすることである。生活習慣病・予防・介入をキーワードとした国内外の18文献について、Greenが提唱したPRECEDE-PROCEED MODELを使用してプログラムとその評価法を検討した。その結果、プログラムの計画については【スキル1:生活習慣病の予防に向けた理解】、【スキル2:自身の行動変容に向けた目標設定】、【スキル3:自身の生活習慣の内省・モニタリング】、【スキル4:生活改善の具体的な実践方法】の4つのスキルからなることがわかった。また、プログラムの評価については「生活習慣の変容」と「セルフモニタリングの実施状況」からなる行動・ライフスタイルは記述されていたが、環境(地域)について記述している文献は見られなかった。今後は、個人の変容と環境(地域)の変容の両方に着目したプログラムとそれの評価法の開発が必要である。(著者抄録)