- 著者
-
氏平 増之
今野 久志
牛渡 裕二
- 出版者
- 一般社団法人 日本応用地質学会
- 雑誌
- 応用地質 (ISSN:02867737)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.1, pp.2-15, 2013-04-10
- 参考文献数
- 17
本論文の一連の研究では,ケーブルセンサCSをスチールワイヤ内に巻き込んだスチールワイヤ型ケーブルセンサ(SWCS)の現場適用化試験を行っている.SWCSの重量はセンサ長が長いとかなり大きくなる.緊急時の使用にはSWCSより軽量のセンサ開発が望ましい.ここでは,繊維ロープ内部にCSを巻き込んだ繊維ロープセンサ2種類(TRCS-I,II)を試作した.これらを防護ネットに一定間隔で固定する方法を想定し,2点で固定した条件下で一定の衝撃を与え,出力電圧波形の特徴,引張りひずみ下での感度変化を調べた.繊維ロープセンサはSWCSに比べ,単位長さ重量が各13%,23%と軽く,緊急時に急いで落石頻度の計測体制を整えたいような場合に有用と考えられる.本研究で明らかになった主要な点は以下のようである.(1)国道の覆道上部平坦面にSWCSを敷設して行った落石検知計測では落石により±1,500mVの出力電圧波形が得られ,同様の計測手法は,国道の通行止め,解除等の判断に役立つと考えられる.(2)SWCSより軽量なTRCS-I,IIの出力電圧波形の±ピーク値と引張りひずみの関係は,ひずみ<I>ε</I>≦2%の初期段階では出力電圧が若干増加する傾向,<I>ε</I>=2~9%でほぼ一定,<I>ε</I>>9%では漸減する傾向がある.10%付近の大きいひずみレベルまで感度を保持しており有用といえる.