著者
仲村 春和 田中 英明 岡本 仁 影山 龍一郎 笹井 芳樹 武田 洋幸 野田 昌晴 村上 富士夫 藤澤 肇
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1998

「脳のパターン形成研究」班は平成10-15年の6年にわたって、最新の分子生物学的手法、遺伝子改変のテクニックなどを駆使して、脊椎動物の脳・神経系の形態形成に焦点を当て手研究を行ってきた。本研究プロジェクトでは、特に(1)発生初期の神経としての分化の決定、(2)その後中枢神経内でのコンパートメントの形成、(3)コンパートメント内での位置特異性の決定、(4)神経回路の形成の機構についての各班員が分担して研究を行った。本研究領域は6年間にわたり展開され、これまでの研究成果の項に記すように各研究班ともに成果をあげている。そこで本研究領域の成果をとりまとめ広く公表するとともに、今後の展開、共同研究の道を開くため公開シンポジウムを開催する。本年度はその成果公開のため国際公開シンポジウムを開催した。シンポジウムには海外からMarion Wassef, Andrea Wizenmann, Elizabeth Grove博士を招待し、国内講演者は本研究班の班員を中心とし、関連の研究者を加え、13人の演者による発表が行われた。シンポジウムでは、脊椎動物脳のパターン形成に関して様々な視点からの講演と討論が行われ、これまでの各演者の成果を交換するとともに今後の研究の展開、共同研究の可能性についても意見が交換された。
著者
仲村 春和
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

視神経繊維の大部分は視蓋の表層を走り、標的付近で内側に向きを変えシナプスを作るが、本研究により、最初から視蓋の深層を走る一過性の一群があることが明らかにされた。En2は視蓋の発生初期に後ろとしての位置価を与えるが、視神経が視蓋に到達した頃に、SGFS,g-j層で発現している。En2の強制発現により、En2発現細胞は視蓋の浅層に到達することはなかった。E1.5にEn2をトランスフェクトし、Doxによりその発現をE8.5に誘導すると、浅層でEn2を発現した細胞はi層に戻っていった。このことから、En2が視蓋総計性に深く関わっていることが示唆された。Neuropilin1(NRP1)がE8.5視蓋のIV,V層に、そのリガンドSema3AがVI層に発現している。IV,V層の細胞は接戦方向の移動をする細胞により構成されることが本研究により明らかとなった。その接戦方向の移動にSema-Neuropilinの反発系が関与していることが示唆された。Sema3Aを強制発現すると視蓋の層構造が乱れることから、semaphorin-neuropilinの反発系が視蓋の総計性に大きな役割を果たしていることが示唆された。