著者
有川 二郎 杉山 和良 高島 郁夫 森松 組子 王 華 CLARENCE Peters WANG Hua CLARENCE Pet 宋 干 李 徳新 ANTTI Vaheri BO Niklasson 網 康至 伊勢川 裕二 五十嵐 章
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1. 研究分担者、杉山和良らは中国、北京市と西安市近郊で野生げっ歯類の捕獲調査を実施し、2地区より100例のげっ歯類が得られ抗体および抗原の分布を明らかにした。2. 中国側研究分担者、李徳新を3カ月間、日本側研究機関に招聘し、得られた材料の解析を行い、中国由来2株のウイルスの遺伝子配列が一部決定され、日本側流行株よりもむしろ韓国由来株に近縁であることが明らかになった。3. 研究代表者、有川二郎と研究分担者、森松組子は米国側研究分担者、Petersを訪問し、世界各地での本ウイルス流行状況と遺伝的解析方法についての最新情報を得た。4. 研究分担者、Vaheri(フィンランド)をわが国に招聘し、北欧地域調査と北欧由来およびアジア由来ウイルスの相互比較の可能性について情報交換と将来計画を検討した。5. 研究代表者有川と研究分担者、高島は、英国、オーストリアおよびスロバキア側研究分担者の所属研究機関を訪問し、欧州におけるハンタウイルス感染症流行地域拡大に関する情報を得た。病原性の高い血清型(Dobrava型)である可能性についても情報を得た。6. 研究分担者、森松、苅和は英国側研究分担者の研究所を訪問し、遺伝子再集合ウイルス作製法ならびにReverse genetics法に関する最新の情報を得た。7. 研究代表者、有川および研究分担者、森松、高島、苅和は、韓国側研究分担者、李鎬汪の研究所を訪問し韓国流行株との比較解析に関する情報収集を行った。8. 中国側研究分担者(王 華)をわが国に招聘し、中国の人と動物由来ウイルスの遺伝子の相互関係の解析を実施中である。現在までに約50株の遺伝子の増幅に成功した。9. 中国側研究分担者(陳 化新)をわが国に招聘し、中国の野生げっ歯類の生態とハンタウイルス流行との関係について情報収集を行った。
著者
森本 亮祐 阪上 綾 中垣 剛典 隅谷 栄伸 伊勢川 裕二
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.161-166, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
25

黄色ブドウ球菌は, 健常者における常在菌である。しかしながら, 黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンによる食中毒や院内感染症の主要な起因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) が問題となっている。本研究ではアロニア (Aronia melanocarpa) が有する機能性に注目し, これらの問題点を打開するため抗黄色ブドウ球菌効果を示す有効成分の検索を行った。有効成分の大まかな見当をつけるため, 異なる抽出方法でアロニア試料の抗菌活性を測定した。その結果, アロニアジュース凍結乾燥後の水溶性成分において試験菌株すべてに強い抗菌効果が確認された。抗菌成分の検索のために行った分画・細分取では逆相クロマトグラフィー非吸着・アセトニトリル20-30%溶出画分に強い抗菌効果を確認した。質量分析の結果, アロニア中の抗黄色ブドウ球菌効果を示す成分として, クロロゲン酸, プロトカテク酸やゲンチシン酸のような, 数種の低分子化合物を同定した。