著者
伊原 亮司
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

トヨタは、生産現場を緊密かつ巧妙に統合していると言われてきた。そのトヨタは「日本的経営」の代表例として扱われることが多いが、他の日本企業との比較研究は存在せず、それがトヨタに限った話なのかどうかは定かではない。そこで本研究は現場の中核層に焦点をあてて、トヨタと日産の統合力の実態を比較した。確かにトヨタは、管理の貫徹度が高い。工場の隅々までそして現場の「末端」にまで管理の手と眼差しが入り込んでいる。しかし、それは、トヨタに特異な管理制度によるだけでなく、長年かけて築き上げてきた文化によるところが大きい。また、統合力が強いトヨタでも、反統合の現象が多く見受けられ、それが現在問題になっている「品質」に少なからず影響を及ぼしていると考えられる。