著者
古賀 俊充 田中 義輝 伊奈 研次 南部 隆行 玉城 裕史 不破 大祐 小島 木綿子 佐々木 陽子 柏原 輝子 榊原 千穂 高橋 彩子 太田 圭洋
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.525-531, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
26

レムデシビルはCOVID-19 治療薬として本邦で最初に承認された抗ウイルス薬である.一般集団におけるレムデシビルの有用性については多くの報告があるが,透析患者に対するレムデシビルの安全性に関する情報は限られている.本研究では2022 年4 月までにCOVID-19 に罹患した透析患者58 例を対象にレムデシビルによる有害事象を後方視的に評価した.レムデシビル投与群43 例と非投与群15 例で有害事象の頻度に有意差を認めず,またレムデシビル3 日間投与群と非3 日間投与群においても有害事象の発生率と有効性に差はなかった.レムデシビル投与後,肝機能障害が3 例発現したが,1 例はグリチルリチン製剤を投与するのみで改善し,ほか2 例は自然に軽快した.以上よりCOVID-19 の治療として,レムデシビルの投与は,肝機能障害に注意すれば,血液透析患者に対しても安全で有用な治療法と考えられる.
著者
中西 敏博 武内 有城 伊奈 研次 長尾 清治
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.324-329, 2011 (Released:2011-06-02)
参考文献数
6
被引用文献数
7 3

Mohsペーストは塩化亜鉛を主成分とする組織固定剤で, 皮膚腫瘍のchemosurgeryに応用されている. 近年, 緩和医療分野でも, 切除不能な皮膚浸潤・転移巣の悪臭などの症状コントロールにおいて有益性が高いとされている. わが国で広く使用されているMohsペーストは, 重山らが提唱した塩化亜鉛と亜鉛華デンプンの混合物にグリセリンを添加して調製するが, 粘度が高く粘着性もあるため, 塗りにくいという問題がある. われわれは, Mohsペーストを短冊ガーゼにからませて患部に貼付する方法と, ガーゼに塗って患部に貼付する方法の2つのMohsガーゼ法を考案し, 出血や悪臭, 浸出液のコントロールに難渋した胃がんの皮膚転移巣の症例に有用であった. この方法は, 従来のMohsペースト塗布方法と固定効果に差を認めず, Mohsペーストの塗りにくさの問題を解決することができ, 処置時の苦痛を軽減することが可能であった. Palliat Care Res 2011; 6(1): 324-329