著者
伊美 裕麻 伊藤 孝行 伊藤 孝紀 秀島 栄三
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

SNS等の広がりにより,大規模な人数での意見の共有は可能だが,整理,集約を支援する仕組みは実現されていない.特に,都市計画等の分野において,数百人レベルの意見集約システムの実現に期待が高まっている.本研究では,多人数による意見集約支援システムCOLLAGREEを開発する.さらに,意見集約を担うファシリテータ支援機構の導入を検討する.本論文では,社会実験とその結果を示し,本システムの有効性を示す.
著者
伊美 裕麻 伊藤 孝行 伊藤 孝紀 秀島 栄三
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1996-2010, 2015-10-15

オンライン議論に関する研究分野では,多様な視点を持った大規模な人数による意見集約が重要な研究課題となってきている.たとえば,都市開発での市民参画の分野において,強い民主主義や効率的な都市計画の実現を目指し,市民から直接的により多くの意見を集める議論システムの実現が求められている.一方で,集合知の観点から,WikipediaやLinuxのような大規模な参加を前提としたオープンな協働活動やオープンソースソフトウェア開発活動では,一部のマネジメント層による管理や整理がきわめて重要であることが指摘されている.オンライン議論においても,自然に集約が進むわけではなく,マネジメント層が必要であるといえる.本論文で提案するシステムCOLLAGREEでは,大規模なオンライン議論におけるマネジメント層の役割として,人間のファシリテータを導入し,適切な議論プロセスの進行を導く.社会実験として,名古屋市次期総合計画に関するインターネット版タウンミーティングにCOLLAGREEを導入した.本社会実験では,2週間で,264名の登録者,1,151件の意見,18,466件の閲覧を得ることができた.実験結果より以下の4つの知見を得た.(1)ファリシテーションの有用性が確認できた.また,ファシリテーション支援機能とファシリテータによる(2)炎上のような不適切な状態の回避と,(3)議論における発散と集約の適切な進行ができた.さらに,インターネット版のタウンミーティングとして,(4)若い年齢層の参加者を集めることができた.
著者
早川 知道 伊美 裕麻 伊藤 孝行
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.317-326, 2016

日本のOpenStreetMap(OSM) は活発な活動により多くの成果物が作成されているが, 持続可能なコミュニティとなり多くの社会活動に成果物を活用するためには, 様々な課題がある. 本稿では, 日本のOSMの現状分析を行い, 今後の課題を明確にし, 日本のコミュニティに問題提起するための検証をした. 最初に, 成果物数と貢献者数について日本とOSM先進地域で比較調査分析し, 日本のOSMの現状と課題を明確にした. 次に, OSMの品質の要素である, 成果物の粒度について調査した. 調査の結果, 貢献者をいかに定着させるか, さらには, 新たな貢献者をいかに増やすのか, が日本のOSMコミュニティの課題となった.