著者
氏岡 真士 伊藤 加奈子
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『水滸伝』の版本は一般に(文)繁本と(文)簡本に大別され、多くの研究者は前者を後者より重視している。結果的に百二十四回本や八巻本、十巻本、三十巻本など重要な版本の研究が進んでいなかった。本研究はこれら(文)簡本を中心に調査分析を行ない多くの知見を得たものである。注意すべきは金聖歎による七十回本の独擅場とされる清代にも(文)簡本が版を重ねていたことで、この事実は当時の読者層の二極化を示唆する。
著者
伊藤 加奈子 佐立 治人 氏岡 真士
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

『杜騙新書』は中国の明朝末期に出版された、様々な詐欺事件を題材とする短編小説集であり、中国近世の庶民生活、商人の経済活動、当時に生きた人々の善悪判断といった物の考え方を具体的に生き生きと伝える書物である。日本に現存する『杜騙新書』の明刊本や江戸時代の和刻本の所蔵先を調査・資料収集を行い、書誌学的事項を調査し、訳注を作成した。平成27年3月21日『『杜騙新書』訳注稿初編』を出版、全国の主だった図書館並びに東洋学関係出版社等に寄贈した。現代日本語訳注の作成によって、我々はこの書物がより広く人々の目に触れ、中国文化について更なる新しい理解を広めることを期待するものである。