著者
伊藤 富子 工藤 智 下田 和孝
出版者
北海道立水産孵化場
雑誌
北海道立水産孵化場研究報告 (ISSN:02866536)
巻号頁・発行日
no.59, pp.11-20, 2005-03
被引用文献数
1

北海道では、2001年に大沼公園内円池でオオクチバスとコクチバスが、2002年に余市町余市ダムでオオクチバスが、2002-2004年に南幌町親水公園池でオオクチバスが、それぞれ捕獲された。余市ダムおよび南幌親水公園におけるオオクチバスの生態的地位と履歴を解明する目的で、オオクチバスの食性を調べると共に、オオクチバスと餌生物の炭素および窒素同位体の分析を行った。また、同位体分析結果の解明のため、オオクチバスの同位体濃縮係数とターンオーバータイムの測定を試みた。その結果、余市ダムのオオクチバスは最近違法放流されたものと推定された。一方、南幌親水公園池では、比較的長い間この水域に生息していた体重500g以上のものと最近放流された体重100g以下の個体の両者が含まれていると推定され、2004年6月に採集された体重300g余の個体は新たにごく最近違法放流されたものであると考えられた。
著者
伊藤 富子 工藤 智 下田 和孝
出版者
北海道立水産孵化場
巻号頁・発行日
no.59, pp.11-20, 2005 (Released:2011-03-05)

北海道では、2001年に大沼公園内円池でオオクチバスとコクチバスが、2002年に余市町余市ダムでオオクチバスが、2002-2004年に南幌町親水公園池でオオクチバスが、それぞれ捕獲された。余市ダムおよび南幌親水公園におけるオオクチバスの生態的地位と履歴を解明する目的で、オオクチバスの食性を調べると共に、オオクチバスと餌生物の炭素および窒素同位体の分析を行った。また、同位体分析結果の解明のため、オオクチバスの同位体濃縮係数とターンオーバータイムの測定を試みた。その結果、余市ダムのオオクチバスは最近違法放流されたものと推定された。一方、南幌親水公園池では、比較的長い間この水域に生息していた体重500g以上のものと最近放流された体重100g以下の個体の両者が含まれていると推定され、2004年6月に採集された体重300g余の個体は新たにごく最近違法放流されたものであると考えられた。
著者
草野 晴美 伊藤 富子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.193-201, 2004-12-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

北海道千歳川水系における淡水性ヨコエビの分布を調べたところ,本流にはトゲオヨコエビEogammarus kygi (Derzhavin),支流にはオオエゾヨコエビJesogammarus jesoensis(Schellenberg),湧水源流付近にはエゾヨコエビSternomoera yezoensis(Uéno)が生息していることがわかった。また千歳川支流のひとつ,内別川におけるオオエゾヨコエビとトゲオヨコエビの調査から,(1)2種の分布は,隣接するにも関わらず重複が少なく,分布境界が明瞭であること,(2)その分布境界の上流と下流で河川の物理的な環境に差異は見られないが,産卵後サケ死体の現存量に有意な差が認められること,(3)2種とも消化管に植物質,動物質の餌を含むが,トゲオヨコエビの方がオオエゾヨコエビより動物質の餌,特にヨコエビ破片を含んでいる頻度が高いこと,が明らかになった。これらの結果から,オオエゾヨコエビとトゲオヨコエビの分布を決めている要因について,(1)トゲオヨコエビが千歳川下流から遡上することによってオオエゾヨコエビよりあとから上流域へ分布を広げた,(2)トゲオヨコエビは動物性の餌資源をより多く必要とするためサケ遡上区域(産卵後サケ死体の分布)と重複するように分布し,オオエゾヨコエビは貧栄養的な支流に追いやられている,(3)2種間に捕食などの直接的な関係があることによって分布が排他的になっている,という3つの可能性を考察した。