著者
佐藤 洋樹 田宮 洋一 伊藤 寛晃 角田 和彦
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.121, no.7, pp.404-408, 2007-07
被引用文献数
1

症例は18歳,女性.2003年4月18日下腹部痛と嘔吐を主訴に当院受診.下部消化管内視鏡で直腸S状部に巨大な粘膜下血腫を認め,月経に随伴する病態から腸管子宮内膜症と診断した.保存的治療と偽閉経療法にて腫瘤は縮小し経過観察されていた.2005年7月7日下腹部痛と嘔吐が再度出現し7月8日腸閉塞にて入院.肛門縁から10cmに完全狭窄を認めた為,7月12日低位前方切除術施行した.本疾患は狭窄や消化管閉塞を呈し悪性腫瘍との鑑別を要するが,確定診断が困難なことも多い.今回我々は若年者で巨大粘膜下血腫と直腸狭窄を伴った手術例を経験したので報告する.
著者
伊藤 寛晃 畠山 勝義 廣田 正樹 田中 修二 木原 一
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.305-309, 2003-06-10

癒着性腸閉塞症を発症した幽門側胃切除後の73歳男性に対して,イレウス管を挿入し,自然流出による腸内容減圧療法を開始した.イレウス管は順調に進入し,イレウス症状は改善した.しかし第5病日朝に腹痛が出現,イレウス管の固定位置を修正していなかったためにイレウス管が緊張した状態となっていた.イレウス管造影を行うと,小腸がイレウス管を軸としてらせん階段状に収縮していた.完全な腸重積になっていなかったため,イレウス管の固定を解除することによって自然軽快した.本症例は,イレウス管による腸重積発症機序の一端を示すものと考えられた.イレウス管挿入中は慎重な観察が必要であると考えられた.