著者
伊藤 弘明 岩崎 基 原田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ここ数十年で乳がんの年齢調整罹患率は著しく増加してきたが、乳がんの原因はその既知の危険因子だけでは半分程度しか説明できないとされている。一方、新規な環境汚染物質である有機フッ素化合物への曝露が乳がん発生に関与している可能性が注目されている。しかしながら世界的にもデータが乏しく、国際機関が発がん性を評価していない有機フッ素化合物も多い。既存の疫学研究では異性体別に研究しておらず、南半球での研究例もまだない。これまで日本人女性において有機フッ素化合物が乳がんの発生に及ぼす影響の解明を進めてきたが、これに加え、本研究ではブラジル人女性における症例対照研究を行い、国際比較と統合解析を行う。
著者
伊藤 弘明 岩崎 基
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

乳がん症例・対照401ペアにおける有機フッ素化合物(PFASs)の異性体別の血清中濃度を四分位等でカテゴリー化して独立変数とし、乳がん罹患の有無を従属変数として多変数調整オッズ比を算出したところ、19種類のPFASsの血清中濃度と乳がんリスクの間に有意な負の関連を認めた。分岐鎖のあるペルフルオロトリデカン酸(PFTrDA)では血清中濃度が中程の群において乳がんリスクの有意な増加を認めた一方、分岐鎖のないPFTrDAでは有意な負の関連を認めた。また、対照群における横断研究を別途行い、重回帰分析により18種類のPFASsの血清中濃度と末梢血白血球DNAメチル化レベルの間に有意な正の関連を認めた。