著者
小牧 瞳 伊藤 晃一
出版者
千葉大学大学院人文公共学府
雑誌
千葉大学大学院人文公共学府研究プロジェクト報告書 = Chiba University Graduate School of Humanities and Study of Public Affairs Research Project Reports (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.324, pp.41-52, 2018-02-28

[要旨] 本稿は、千葉大学教育学部藤川研究室で12年にわたり継続されている「読書会」と呼ばれる活動についての報告である。本「読書会」では、哲学書等の難解な文献を参加者で一文ずつ解釈するとともに、担当者が次回の「読書会」までに、「読書会」の中で行われた議論を論文調にまとめる、「プロトコル」と呼ばれるものを作成する。藤川研究室では、この「プロトコル」作成という営みを大切にしてきた。前半は、現在行なっている「読書会」の様子の記述し、「読書会」発足の経緯と、現在までの変遷をまとめた。後半は、本読書会と、世間一般に呼ばれている典型的な読書会と、大学等で一般的に行われている文献購読形式の演習との違いを、ゲーミフィケーションの知見を用いて比較検討した。他の読書会のゴールは文献を読み、議論することであるが、当「読書会」は「プロトコル」作成が一つのゴールと認知されており、それが参加者のモチベーションを支えている。
著者
伊藤 晃一 イトウ コウイチ Koichi ITO
出版者
千葉大学教育学部授業実践開発研究室
雑誌
授業実践開発研究 (ISSN:18848818)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-26, 2009-03

子どもたちと学校に招かれた外国人とがなんらかのかかわりをするというような異文化交流の実践のほとんどは、今まで授業の中で行われていた。しかし筆者は、授業の中で行われる異文化交流の実践が、授業がもつ特徴によってむしろ制約されてしまい、本来の意味での異文化交流が出来ていないのではないかという問題意識を持つようになった。本研究は、授業の特徴が異文化交流の実践にどのような影響を及ぼしているのかを詳しく検討した上で、その問題点を指摘し、授業の枠組みをはずした場における異文化交流の実践を作成し、その成果と課題を考察し、学校における新しい異文化交流の可能性を見いだすことを目的としている。実践は、実践時間をあえて授業から切り離し、休み時間に行った。実践の成果としては、子どもたちが多様な仕方で外国人とかかわろうと試行錯誤する様子が見受けられ、それを休み時間に行った成果と結論づけた。一方で、今後このような実践を学校文化の中にどう位置づけていくのかということや、異文化交流ということばが、果たして客観的なことばとして機能するのかということや、子どもたちのかかわりを記述するとはどういうことかという問題も明らかになった。