著者
安部 恵 板垣 千尋 鈴木 惇 山田 正子 中澤 勇二 伊藤 晋治
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.183, 2006

目的: ブルーチーズには、複屈折性を示す結晶状の構造が、タンパク質の基質および脂肪球に存在する。カビの増殖した部位と結晶の分布状態および結晶構造に脂肪酸が係わるかを確かめるために、この実験を行った。<BR>材料: ロックフォール、ブルーデコース、スティルトンおよびゴルゴンゾーラを用いた。組織化学的方法によりカビと脂肪酸を染色して、カビと脂肪酸の分布を調べた。結晶の分布を偏光装置を用いて調べた。<BR>結果: これらのブルーチーズでは、多くの脂肪は複屈折性を示す結晶性の構造物が脂肪内にあった。また、タンパク質の基質に複屈折性を示す結晶が存在した。基質に分布する複屈折性を示す小さい結晶は、スティルトンが最も多く、次にロックフォールで、ブルーデコース、ゴルゴンゾーラの順に少なかった。これらのブルーチーズには、大きな結晶の集積および不定形をした結晶の塊が、カビが増殖した部位およびその近くに分布していた。大きな結晶の塊は、ロックフォールで多く、ブルーデコースおよびゴルゴンゾーラで少なく、スティルトンでは非常に少なかった。基質に分布する結晶および脂肪の一部は、脂肪酸の染色に染まり、脂肪酸が存在した。脂肪酸は結晶を構成する一成分となっていた。染色された部位の大きさと染色の強さによる脂肪酸の分布は、スティルトンで最も多く、ロックフォール、ブルーデコース、ゴルゴンゾーラの順に少なかった。
著者
鈴木 惇 安部 恵 板垣 千尋 山田 正子 中澤 勇二 伊藤 晋治
出版者
修紅短期大学
雑誌
修紅短期大学紀要 (ISSN:13498002)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.57-65, 2007

ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ、ブルー・デ・コース、ロックフォールおよびスティルトン)における脂肪酸の分布状態を組織化学的方法により調べた。ブルーチーズにおける結晶性の構造物、脂肪およびタンパク質の基質は、脂肪酸の染色により染また。この知見は、遊離脂肪酸が結晶性の構造物、脂肪およびタンパク質の基質に分布したことを示す。カビが増殖した部位およびその周囲のタンパク質の基質は濃く染まった。カビが増殖した部位から離れるにつれて基質は薄くなり、染色されなくなった。結晶は濃く全体に染まった。表層が染まり内部が染まらない結晶が僅かにあった。全体が染まる脂肪球、表面の一部が染まる脂肪球および染まらない脂肪球が存在した。表面の一部しか染まらない脂肪球および全体が染まらない脂肪球の内部には、偏光装置による複屈折性が観察された。スティルトンは、カビが増殖した部位から広い範囲が染色された。ロックフォールとブルー・デ・コースでは、カビが増殖した部位およびその周囲が染まった。ゴルゴンゾーラでは、カビが増殖した部位が染まったが、染色される範囲は小さかった。スティルトンは、ほかのブルーチーズよりも脂肪酸が広く分布し、ゴルゴンゾーラは、ロックフォールとブルー・デ・コースよりも脂肪酸の分布は少なかった。ロックフォールとブルー・デ・コースの脂肪酸の分布は、同じ程度であった。