- 著者
-
伊藤 隆
伊藤 格郎
伊藤 冨美雄
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医師会
- 雑誌
- 日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.2, pp.107-110, 1986-02-20 (Released:2011-06-17)
- 参考文献数
- 15
小規模なアンゴラウサギ飼育農家で, くしゃみ, 鼻汁の漏出, 鼻性呼吸を主徴とするスナッフルが発生し, 繁殖および育成用ウサギを問わず, ほぼ全頭に発症が確認された.この中で最も臨床症状が重い5頭を淘汰し, 病性鑑定を行った.共通した肉眼所見として, 鼻腔および副鼻腔の粘液貯留が認められた.細菌検査では, 鼻腔ぬぐい液からBordetella bronchisotica (B.bronchisotica) とPasteurella multocida (P.multocida) が高率に分離された.また, 組織学的に鼻腔粘膜のカタール性炎, 鼻甲介骨の破壊吸収像がみられた.29頭の鼻腔ぬぐい液の細菌検査で25頭からB.bronchisoticaが, 5頭からEmultocidaが多量に分離された.B.bronchisoticaの抗体検査では繁殖用ウサギで幾何平均 (GM) 98.8倍, 育成用ウサギで25.2倍と高い抗体価を示し, B.bronchisoticaが広く浸潤していた.