著者
福本 悠樹 鈴木 佑有可 伊藤 浩平 才野 茜音 細尾 菜月 鈴木 俊明
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.54-61, 2021-04-01 (Released:2021-04-02)
参考文献数
31

運動イメージの実施対象と同側で運動練習を行わせると, 運動イメージが運動の正確度を維持させると分かった。本研究では同側での運動練習が困難な場合を想定し, 運動イメージの実施対象と対側で運動練習を行わせていた場合でも同等の効果が得られるかについて検証することを目的とした。健常者20名に対し安静のF波測定後 (安静1回目), ピンチ力を目標値に調節する練習を右手で行わせた。次に, 運動練習したことをあたかも左手で行っているかのようにイメージさせF波を測定した (運動イメージ試行) 。運動イメージ後, 目標値へピンチ力を調節するよう指示し運動の正確度を評価した (ピンチ課題) 。別日には, 運動イメージ試行を再度の安静 (安静2回目) に入れ替えたコントロール課題も設定した。運動の正確度の指標は, 目標値からの発揮ピンチ力誤差を絶対値に変換した値 (絶対誤差) を採用した。結果, イメージ課題とコントロール課題間で絶対誤差に差はなかったが, 安静と比較した運動イメージ試行でF波出現頻度が増大した。
著者
高橋 海 山原 可奈子 伊藤 浩平 岩岡 和博 後藤 雄一 寺山 靖夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001292, (Released:2019-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

症例は30歳女性.25歳頃から数回にわたり皮質盲症状を呈し近医を受診した.脳梗塞様の画像所見と糖尿病の病歴からミトコンドリア病が疑われたが,血清および髄液乳酸値が正常,筋病理に異常を認めないことから確定診断には至らなかった.30歳時に意識障害と皮質盲症状,頸部および右上肢の不随意運動を呈して当院を受診.頭部MRIで両側大脳基底核の異常信号とMRスペクトロスコピーで乳酸ピークの増大を認め,髄液乳酸値の高値,ミトコンドリア遺伝子解析でm.4296G>A遺伝子変異を認めたことからミトコンドリア脳症と診断した.成人発症のm.4296G>A遺伝子変異の報告は非常に稀であると考え文献的考察を行い報告する.