著者
鈴木 幸一 御領 政信 品田 哲郎 寺山 靖夫 吉岡 芳親 高橋 智
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

カイコ冬虫夏草ハナサナギタケの熱水抽出物から同定した新規の生物活性分子は、マウス海馬に発生したアストログリオーシス(神経膠症)修復の最有力候補であり、その分子メカニズムを解明することでヒトへの応用開発を進めた。その結果、培養アストロサイトに新規生物活性因子を添加することで、神経成長因子と神経成長因子誘導体の遺伝子が発現し、さらに神経初代細胞への効果として神経突起形成を誘導した。このin vitroの分子機構に基づいて、老化促進マウスの脳機能は向上し、ヒトのアルツハイマー型認知症患者の前臨床試験でも改善効果が確認され、新しい機能性食品と医薬品候補を提案した。
著者
中根 俊成 溝口 功一 阿部 康二 熱田 直樹 井口 保之 池田 佳生 梶 龍兒 亀井 聡 北川 一夫 木村 和美 鈴木 正彦 髙嶋 博 寺山 靖夫 西山 和利 古谷 博和 松原 悦朗 村松 慎一 山村 修 武田 篤 伊東 秀文 日本神経学会災害対策委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.643-652, 2020 (Released:2020-10-24)
参考文献数
57

東日本大震災の甚大な被害を踏まえて日本神経学会の災害対策活動はスタートした.2014年,正式に日本神経学会災害対策委員会が発足し,災害支援ネットワーク構築と指揮発動要件設定を行い,模擬訓練を実施した.2016年の熊本地震で我々は平常時の難病患者リスト作成,個別支援計画策定の重要性を認識し,避難所等における難病患者のサポートのあり方を検討した.2017年,我々は災害対策マニュアルを刊行し,難病患者の災害時調整役として各都道府県に神経難病リエゾンを配置することを定めた.神経難病リエゾンの役割は「被災地の情報収集・発信」,「医療支援調整」,「保健活動」であり,平常時と災害時の活動が期待される.
著者
村田 隆彦 川嶋 雅浩 寺山 靖夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.7, pp.2048-2050, 2012 (Released:2013-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

症例は61歳,男性.右不全片麻痺で脳梗塞を発症し,クロピドグレルの内服開始に伴い,胃粘膜病変予防のためラフチジンの内服を開始した.内服開始2日後より異常言動などの精神神経症状がみられ,血液検査・頭部MRIで原因と考えられる明らかな変化がなく,ラベプラゾールの内服への変更で精神神経症状は速やかに改善した.ラフチジンは脂溶性の薬物であり,血液脳関門を通過しやすいため精神神経症状の発現に注意する必要がある.
著者
高橋 海 山原 可奈子 伊藤 浩平 岩岡 和博 後藤 雄一 寺山 靖夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001292, (Released:2019-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

症例は30歳女性.25歳頃から数回にわたり皮質盲症状を呈し近医を受診した.脳梗塞様の画像所見と糖尿病の病歴からミトコンドリア病が疑われたが,血清および髄液乳酸値が正常,筋病理に異常を認めないことから確定診断には至らなかった.30歳時に意識障害と皮質盲症状,頸部および右上肢の不随意運動を呈して当院を受診.頭部MRIで両側大脳基底核の異常信号とMRスペクトロスコピーで乳酸ピークの増大を認め,髄液乳酸値の高値,ミトコンドリア遺伝子解析でm.4296G>A遺伝子変異を認めたことからミトコンドリア脳症と診断した.成人発症のm.4296G>A遺伝子変異の報告は非常に稀であると考え文献的考察を行い報告する.
著者
加藤 可奈子 寺山 靖夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1869-1875, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
10

高齢者におけるめまいも一般的なめまいの診断手順を踏むことに変わりはないが,加齢のためにさまざまな入力機能の低下があり,その不均衡によるめまい感を来たしやすい.高齢者のめまいでは,頻度の高い末梢性めまいの他に,脳血管障害を中心とした危険なめまいを診断していくとともに,脱水や貧血,肝,腎機能低下による全身状態悪化に伴うものも疑う必要がある.また,薬物代謝機能が低下しているために,薬剤の影響が出やすいことに注意する必要がある.