著者
伊藤 隆康
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 = 新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.83, pp.83-90, 2007-09

OISは日銀が量的緩和政策を解除した06年3月頃から徐々に取引が増え始め,06年7月のゼロ金利解除以降,取引残高と件数がともに拡大傾向となった。07年に入ってからは,日銀の追加利上げ観測を背景にOIS市場は活況を呈した。07年5月現在でOIS取引に参加しているのは,欧州系を中心とした外資系の金融機関が大半であるが,一部の邦銀や証券会社の参加も若干観測されている。TIBORやユーロ円の金融先物取引を用いても,市場が日銀の政策変更をどの程度予想しているかを分析することは可能である。しかし,OISの決定会合間取引は次回の決定会合までの翌日物金利の予想をベースに取引するため,他の金融商品と比較した場合,市場が予想している金融政策変更に関する情報を得るにはより適していると考えられる。
著者
伊藤 隆康 Ito Takayasu
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.83, pp.83-90, 2007-09

OISは日銀が量的緩和政策を解除した06年3月頃から徐々に取引が増え始め,06年7月のゼロ金利解除以降,取引残高と件数がともに拡大傾向となった。07年に入ってからは,日銀の追加利上げ観測を背景にOIS市場は活況を呈した。07年5月現在でOIS取引に参加しているのは,欧州系を中心とした外資系の金融機関が大半であるが,一部の邦銀や証券会社の参加も若干観測されている。TIBORやユーロ円の金融先物取引を用いても,市場が日銀の政策変更をどの程度予想しているかを分析することは可能である。しかし,OISの決定会合間取引は次回の決定会合までの翌日物金利の予想をベースに取引するため,他の金融商品と比較した場合,市場が予想している金融政策変更に関する情報を得るにはより適していると考えられる。
著者
伊藤 隆康 Ito Takayasu
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.96, pp.149-156, 2014-03

本稿では日銀が2013年4月4日に導入を決定した量的・質的緩和が,金融市場に与えた短期的な効果を検証した。3カ月後,6カ月後において緩和効果が認められたのが,短期金利と株価,ドル円レートであった。一方,不動産投資信託(REIT)に対する効果は認められなかった。また,中長期ゾーンのイールドカーブ低下効果も認められず,中長期金利は上昇した。日銀は質的・量的緩和の導入に伴って,新発国債発行額の約7割に相当する国債の購入を決めた。しかし,国債市場の需給が引き締まることで,国債の価格は上昇(利回りは低下)するとの見通しは外れた。
著者
伊藤 隆康
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

包括緩和政策において、政策導入直後から日銀幹部が積極的に市場との対話を行い、導入3カ月後においては、社債スプレッドの低下や株価上昇という形で効果が見られた。量的・質的緩和政策においては、導入3カ月後に緩和効果が認められたのが、短期金利と株価、ドル円為替レートであった。一方、中長期ゾーンのイールドカーブ低下効果は認められず、中長期金利は上昇した。この点は市場との対話の限界を示した。東日本大震災後における日銀の市場との対話や流動性供給、金融緩和策の強化などが、短期金融市場と国債市場に与えた影響を検証し、こうした一連の政策対応が功を奏して、金融市場は混乱なく安定的に推移したことが分かった。