著者
齋藤 達弘
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 = 新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.129-229, 2016-03

この論文の目的は,キノコの生産販売大手,雪国まいたけの創業経営者,大平喜信の突然の辞任から,雪国まいたけが米系投資ファンドにTOB(株式公開買い付け)され,上場廃止に至るまでの一連の出来事をコーポレート・ファイナンスの視点から考察することにある.この論文では,視点を創業経営者が経営する同族企業のコーポレート・ガバナンスに広げて,雪国まいたけとはどのような会社だったのか,大平喜信はどのような経営者だったのかについても考察する.経営者の迅速な意思決定は拙速と紙一重で,迅速は成長を導く一方で,拙速は暴走を招く.この論文は,オーナーが支配する中堅企業について,創業経営者のワンマン経営や血族主義の弊害の典型的な事例を提示する.
著者
伊藤 隆康
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 = 新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.83, pp.83-90, 2007-09

OISは日銀が量的緩和政策を解除した06年3月頃から徐々に取引が増え始め,06年7月のゼロ金利解除以降,取引残高と件数がともに拡大傾向となった。07年に入ってからは,日銀の追加利上げ観測を背景にOIS市場は活況を呈した。07年5月現在でOIS取引に参加しているのは,欧州系を中心とした外資系の金融機関が大半であるが,一部の邦銀や証券会社の参加も若干観測されている。TIBORやユーロ円の金融先物取引を用いても,市場が日銀の政策変更をどの程度予想しているかを分析することは可能である。しかし,OISの決定会合間取引は次回の決定会合までの翌日物金利の予想をベースに取引するため,他の金融商品と比較した場合,市場が予想している金融政策変更に関する情報を得るにはより適していると考えられる。
著者
齋藤 達弘
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 = 新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.211-216, 2012-03

この論文の目的は,1993 年から2009 年までの16 年間の業種インデクスの月次投資収益率を使って,「ディフェンシブ」(食料品,医薬品,電気・ガス業,陸運業)は本当にディフェンシブなのかを検証することにある.そして,結論として,「ディフェンシブ」はいずれもロー・リスクで,なかでもポートフォリオの文脈で望ましい「ディフェンシブ」は電気・ガス業であることを示す.