著者
伊野家 浩司
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.139-145, 2020-12-30 (Released:2021-01-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

デジタルカメラを電子顕微鏡の像記録に採用することで,単に銀塩フィルムを置き換えるというだけではなく様々な応用分野が期待される.例えば,その場観察において高い時間分解能で経過時間と共に観察結果を記録する能力,クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析における自動像取得機能,デジタル画像の即時性を活用した自動アライメントなど,電子顕微鏡を用いた観察の様々な領域でデジタルカメラの果たす役割は非常に大きくなっている.本講座では電子顕微鏡に現在広く使用されているカメラの基本構造とその原理について解説し,クライオ電子顕微鏡観察において注目された直接検出型カメラとの違い,およびその応用分野の拡がりについて紹介する.