著者
会田 裕一 大沢 昌玄 岸井 隆幸
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1377-1384, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
29

台湾は二輪車中心の私事交通が発達しており、公共交通分担率は低いレベルにある。中央政府では公共交通システムを再定義し、BRTやLRTといった公共交通システムを積極的に推進している。淡海地区では高雄に次いで二番目のLRTが建設中であるが、最初の計画から事業計画の最終承認までに21年間を要している。本研究では、新たな公共交通システムを導入するにあたりどの公共交通システムを採用すべきかの意思決定プロセスを解明すること、LRT決定後のルート選定・構造形式選定といった路線計画の検討ポイントを整理し、その経緯を明らかにすることを目的とする。淡海では、MRT、LRT、BRTの導入が比較・検討された経緯があり、最終的にLRTが選定された。その意思決定プロセスでは、(1)台湾の公共交通政策による誘導が大きな影響を及ぼしていたこと、(2)道路空間などの物理的な制約や投資対効果といった経済性などが重要なポイントであったこと、(3)建設コストのみならず、利便性や景観といったポイントの評価を重視していること、等が明らかとなった。今後、わが国の都市がLRT導入を推進する際にも一つのモデルとなる事例と考えられる。
著者
会田 裕一 大沢 昌玄 岸井 隆幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_791-I_798, 2017
被引用文献数
1

台湾初のLRTプロジェクトが高雄市において2019年の全線開業を目指して進められている.計画から全線開業まで19年間を要する一大プロジェクトである.建設に長期間を要したのは,事業化の段階で民間投資に適したプロジェクト組成ができなかったことが一因であった.そこで,本研究は高雄LRTの事業計画の資金計画に着目し,事業推進上の課題を抽出すると共に課題への対応策を解明することを目的とする.その結果,事業費増加による高雄市の財政負担増,事業収入の低下といった課題が明らかになった.このような課題に対して,中央政府による公的な補助制度,開発利益還元施策や都市政策との連携による利便性の高いまちづくり促進など日本においても学ぶべき知見が得られた.