著者
伴 清治
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.209-215, 2018 (Released:2018-08-02)
参考文献数
16

クラウンブリッジにおけるデジタルデンティストリーの活用のためには,歯科用CAD/CAMシステムにおけるマテリアル選択が必須である.しかし,歯科用CAD/CAMシステムは材料と加工法の組み合わせによりきわめて多種多様なシステムが活用されており,さらにシステムは年々多様化し,使用可能な材料が増える傾向にある.したがって,マテリアル選択には各方法・材料の基本的知識を,最新情報を元に把握しておく必要がある.本報では,歯科用CAD/CAMシステムで使用される材料の特性について,最適材料の選択に役立つように,セラミックス系材料,金属系材料,レジン系材料の3つの素材に大別して,解説する.
著者
伴 清治
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.187-196, 2022-09-30 (Released:2022-10-30)
参考文献数
22

インプラント上部構造用材料は,レジン系,セラミックス系,金属系に大別でき,多くの選択肢がある.セラミックス系はさらにガラスセラミックス系とジルコニア系に二分される.一方,デジタル技術の進歩により,CAD/CAMシステムを使用して高い適合精度でインプラント上部構造を製作することが可能となってきている.また,CAD/CAMシステムは年々多様化し,使用可能な材料が増える傾向にあり,その選択に苦慮する場合がある.たとえば,金属系材料は機械的性質においては満足できるが,審美性およびアレルギー問題により使用は限定される.PEEKおよびPEKKなどのスーパーエンジニアリングプラスチックは化学的性質に優れているが,硬さが低く主にフレーム(コア)として用いられる.また,ガラスセラミックスやコンポジットレジンは微視的には不均質組織であり,機械的性質および化学的性質が各微細組織部分で異なり,上部構造体として口腔内に長期に使用した場合,表面が荒れ,変色しやすくなる.結果として,対合歯の摩耗は大きくなってくる.一方,ジルコニアは均質組織であり,すべての上部構造用材料のなかで最も化学的耐久性が高く,強く,硬く,鏡面研磨仕上げをすれば,対合歯の摩耗は最も小さいと判断できる.したがって,材料学の立場からは,種々の歯科修復材料のなかでジルコニアがインプラント上部構造として最適の性質を有していると判断される.
著者
鶴田 昌三 伴 清治 岩田 純士 川瀬 真由 鈴木 崇由 安藤 正彦
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

鏡面研磨した歯科修復用ジルコニアは撥水性であるが、(1) 歯磨によって水のぬれ性が向上すること、(2) 673K以上に加熱すると同じく優れたぬれ性を得ることを見出した。加熱試料上は細胞増殖能に優れ、インプラントの前処理として可能であった。XPS分析によると、表面に吸着したカーボン量が歯磨や加熱により減少していた。すなわち、歯磨には加熱と同様にジルコニア表面に吸着したカーボンを除去する働きがあり、このため親水性を獲得することを明らかにした。
著者
丸野 重雄 伴 清治 王 允夫 岩田 久 伊藤 晴夫
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1160, pp.362-367, 1992-04-01
被引用文献数
20 40

Composites comprising hydroxyapatite (HA) containing glass layer and pure titanium or Ti-6Al-4V alloy, so called HA-G-Ti functionally gradient materials, have been shown to be useful for bioactive artificial joints and dental implants. In the present study, the mechanical and thermal properties of the HA containing glasses were examined. The compressive strength of HA containing glasses less than 70 wt% HA content was sufficiently larger than that of bone. The hardness of about 70 wt% HA containing glass corresponded to that of natural teeth. It has been found from DSC analysis that the glass little reacts with HA at firing temperature (950℃). Thermal expansion coefficients of HA containing glasses with relatively low HA content were suitable values for the coating on Ti and Ti-6Al-4V. The bonding strength of the glass to Ti substrate reached the maximum value of 28 MPa under the condition of 2.3μm in surface roughness (center line average). The HA-G-Ti composites with bioactive surface, etched in a mixture of HF and HNO_3, showed a good apposition to the bone in vivo.