著者
住谷 正夫 安久 正紘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J73-D2, no.3, pp.478-485, 1990-03-25

心地よい自然の風を作るために,モータの回転数をパワースペクトルが1/fになる揺らぎを用いて制御する方法が提案されているが,本論文では,この1/f揺らぎ制御が人間の快適感におよぼす効果を,白色,1/f2などの各種揺らぎ制御との比較によって明らかにした.快適性の評価方法として,言語対による主観申告データを用いて主因子分析を行い,快適性を示す因子を抽出し,その因子に含まれる項目の評価を数値化し比較評価する方法を用いた.扇風機制御におけるデータ収集は,揺らぎ制御を行わない場合と,各種揺らぎデータを用いて回転数を制御する場合について行い,30名の申告データにおいて,各制御時の評価値を平均した結果により比較検討を行った.また,風と同様に人間の皮膚感覚に直接刺激を与えるものにマッサージがあり,マッサージにおいても,強さや速さの変化がある.そこで,マッサージ機についても揺らぎ制御を行い,同様の主観申告データを得た.得られたデータを解析すると,扇風機,マッサージ機のいずれにおいても,1/f揺らぎ制御時に人間が最も快く感じられるという結果を得た.今後,いろいろな場面で,1/f揺らぎ制御が機械と人間の潤滑油として,有効となりうる可能性を示唆した.
著者
住谷 正夫 安久 正紘 大口 國臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.1787-1790, 1994-12-25
参考文献数
7
被引用文献数
2

48個のホトダイオードを並列接続して測定系自身より発生する雑音の影響を除去し,2系統の独立な光測定回路で測定光の揺らぎデータの有効性を確かめ,蛍光灯などの人工光や太陽などの自然光の時間的な照度揺らぎの特性を明らかにした.各光の揺らぎをパワースペクトルによって解析し比較検討した結果,固形燃料やアルコールランプなどの燃焼を伴う光の揺らぎには,10Hz前後にピークをもつことを見出し,また,0.1〜10Hzの周は数帯域でパワースペクトルがほぼ1/f形に成ることを見出した.自然光は0.1〜10Hzの周波数帯域で1/f形の揺らぎをもっていることなどを見出した.
著者
住谷 正夫 安久 正紘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.9, pp.2556-2564, 1997-09-25

K. L展開の手法を用いて,安静状態,音楽聴取時のリラックスした状態と不快な音(雑音等)による心理的ストレス負荷状態での脳波を,音刺激開始後の約2分間のα波の変化に着目して短時間での快・不快の解析を試みている.頭皮上の16箇所から同時測定された脳波のα波帯域(8~13Hz)の脳波をK. L展開を用いて16軸の固有ベクトルに分解し,それぞれのベクトル方向とその固有値の寄与率の変化について検討している.その結果,固有値の大きい三つの固有ベクトルの寄与率の合計が全体の96%程度を示し,寄与率の大きな順に並べた第1ベクトルから第3ベクトルが,各被験者で,安静状態やさまざまな音刺激状態にかかわらず安定しており,各被験者の脳波パターンを表現する座標系として有効であることを見出している.次に,第1ベクトルの方向の違いを用いてA,Bの二つのグループに分けて,各刺激による各固有値の寄与率の変化を解析した.その結果,Bのグループで音楽を聞かせた状態において,不快な音刺激に比べ第1ベクトルの固有値の寄与率が有意に減少し,第2ベクトルの固有値の寄与率が有意に増大することを見出している.更に,第1ベクトルと第2ベクトルの寄与率の差によって,心理的ストレス状態の違いをより大きな有意な変化としてとらえることができることを示している.また,被験者全員の解析においても有意な差として同じ結果になることを見出している.更に,Aグループでも同じような傾向があることを見出している.