著者
竹内 正樹 佐々木 健司
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.293-299, 2008-10-25 (Released:2008-11-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

頭頸部領域の手術では,露出部である顔面に切開を加えることも多いため,術後瘢痕を目立たなくする整容的な配慮が必要となる。切開線設定は,(1)皺線(Kraissl線)に沿わせること,(2)毛髪線や外鼻,耳介,口唇など輪郭線のある部位では,その境界線に一致させることが原則である。皮膚縫合に際しては,両方の創縁から均等に真皮を引き寄せて創縁の緊張をとる真皮縫合と縫合糸痕を残さない配慮をした皮膚表面縫合を行う。切開から縫合までの過程では,常に皮膚を愛護的に扱う操作を心がける。抜糸後はテープによる減張固定と遮光を行い,変化する瘢痕の経過観察を怠らないことが重要である。