著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.41-53, 2021-09-20 (Released:2021-10-15)
参考文献数
39

本稿では経営学の研究手法としての実験を取り上げる.因果関係の検証に優れた強みを持つ実験は,他の研究手法と補完的に組み合わせたり,新たな情報通信技術を取り入れたりすることで,今なお経営学のツールキットにおける重要な一角を占めている.しかし他方で,再現可能性問題の表面化により,そのあり方について根本的な再考が求められてもいる.本稿はこれらの現状を概観したうえで,経営学における実験研究の展望を論じる.
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.36-48, 2020-03-20 (Released:2020-08-13)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本稿の目的は,権力を持った個人がいわゆる「身びいき」を行いやすくなるか検討することである.具体的には,内集団ひいきが社会的勢力感の上昇により促進されるという仮説を導出し,質問紙を用いた場面想定法実験によって検証を行った.MBA課程に在籍する大学院生を対象に実施した実験からは,日本語を母語とする男性の参加者においてのみ,上記の仮説を支持する結果が得られた.
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.45-57, 2018-09-20 (Released:2019-01-17)
参考文献数
36

本研究の目的は,リスクを伴う意思決定に際して,社会的勢力感がいかなる影響を及ぼすのかを検討することである.質問紙を用いた場面想定法実験の結果から,次の2つの知見が明らかになった.第1に,勢力感の高い個人はリスク愛好的な選択を行いやすくなった.第2に,勢力感の低い個人は,リスクに対して単純に回避的な反応を示すというよりはむしろ中程度のリスクを好む傾向を強めた.
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.73-88, 2017-03-20 (Released:2017-09-11)
参考文献数
47

本研究では,フレーミング効果および互酬性効果が交渉者の態度に与える影響を明らかにするため,企業内の予算交渉過程を描いた場面想定法実験を行った.実験から明らかになった知見は次の2つである.第1に,利得フレーミングの交渉者は,交渉相手からの譲歩を受けると,返報として自らも譲歩的な態度をとりやすい.第2に,損失フレーミングの交渉者は,相手からの譲歩の有無にかかわらず,強硬な態度を保つ傾向がある.