著者
佐々木 雅弘
出版者
旭川医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

これまでの指紋に関する研究は形態からの個人識別を中心に行われ、その他の目的で検査される事は無かった。もし,形態からの個人識別を行った後の指紋よりさらに別の種類の個人識別に有用な情報が引き出せるとすれば、鑑識実務上非常に有用である。一個の指紋から形態的検査のみならず、血液型,DNA多型が判定出来るとすれば,犯罪捜査上非常に大きな技術進歩と言える。今年度は部分指紋からPolymerase chain reaction法(PCR法)によりABO式血液型転移酵素遺伝子領域、D1S80領域、各種マイクロサテライト領域、性染色体特異配列などを増幅することによって性別判定と同時に血液型判定、個人識別を試み、有用であるとの結論を得た。現在、検索領域を性染色体上のいくつかのマイクロサテライトに広げ、そのアリル分析と、遺伝安定性、法医学的には性別判定と同時の個人識別、あるいは判別判定の確からしさの数値化にかんして検討を加えている。