著者
足立 俊明 前田 定廣 宇田川 誠一 山岸 正和 佐伯 明洋 江尻 典雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

リーマン多様体の構造を考察する場合、測地線の研究は非常に有益な手がかりを与える。本研究では、曲線族の種類を増やすことでより多くの情報を獲得し多様体の構造をより詳しく調べられるのではないかという視点に立ち、ケーラー多様体をケーラー形式の定数倍というケーラー磁場による軌道を中心にして考察を行った。1比較定理ケーラー磁場の軌道を基に線織面上に作ったクロワッサン形について、断面曲率の上からの評価の下に周の長さを複素空間形内の弓形の周の長さで評価することができた。逆に断面曲率の下からの評価の下に扇形の弧の長さを複素空間形内の扇形の弧の長さで評価することができた。2複素空間形内の測地球上の佐々木磁場による軌道の考察ケーラー磁場を磁性単体の立場から測地球上の軌道と半径方向とに分解して考察する基礎として、複素空間形内の測地球上で佐々木磁場を考え、その軌道を構造れい率により分類し軌道の周期などの性質を考察した。測地球は佐々木多様体としてのモデル空間であるが、複素空間形上のケーラー磁場の軌道と様子を異にし同じ周期を持つ互いに合同ではない軌道が存在することがわかった。3等長はめ込みによる特徴付けケーラー多様体を実空間形に等長的に埋め込むという構造剛性の下で曲線族としては2次的な点を持つという形に緩めて考察を行った。埋め込みの誘導写像が2次性と測地曲率の対数微分を保つという条件の下ではケーラー多様体は複素空間形の全臍的はめ込みか第1標準はめ込みになる。2次性を保つという条件を緩め外形が2次的であるとすると平行に埋め込まれる階数2のエルミート空間が追加される。