著者
森下 昌紀 早川 貴之 菅野 孝史 山岸 正和 岩瀬 順一 川越 謙一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

素数と結び目の類似性に基づき,数論と3次元トポロジーの関連について,研究し,学術論文5篇,論説2篇を著した。具体的な研究成果の概要は以下に述べる通りである。1)絡み目群と分岐条件付き,Galois群の類似に基づき,結び目と素数の類似性を論じた。特に,Alexander加群とMilnor不変量の数論的類似物を求めた。2)絡み目の巡回分岐被覆について,数体の種の理論の類似を求めた。3)3次元多様体の被覆について,数体の単項化定理の類似を求めた。4)素数たちに対するMilnor不変量の類似物のGaloisコホモロジーのMassey積による解釈を与えた。またMilnor不変量の巡回不変性らの性質を示した。5)岩澤主予想と、Alexander多項式の力学系のゼータ関数による解釈の類似性,Langlcends対応と場の量子論の類似について考察した。上記の研究に関して、次の国際,シンポジウム,学会で研究発表を行った。・数論の国際シンポジウム(2001年,9月,都立大),・代数学シンポジウム(2002年,8月,室蘭工大),・米国数学会年会(2003年1月,ボルチモア),・日韓結び目理論シンポジウム(2003年2月東大),・日米数学研究所コンファレンス(2003年3月,ジョンズホプキンス大,ボルチモア),日米数学研究所のコンファレンスでは,組織委員も務めた。
著者
多田 隼人 川尻 剛照 山岸 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.711-717, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
10

家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia:FH)に代表される遺伝性疾患の研究や,近年の次世代シークエンサーの発展などに伴うゲノムワイド解析による高頻度遺伝子変異と脂質・冠動脈疾患との関連解析により,LDL(low density lipoprotein)コレステロールと冠動脈疾患との因果関係はさらにゆるぎないものとして示されてきた.一方で,HDL(high density lipoprotein)コレステロールと冠動脈疾患との因果関係には疑問符がつけられるに至った.このようなゲノム情報は脂質管理のみならず,新たな創薬にも貢献しつつある.
著者
山岸 正和
出版者
富山高等専門学校
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

有機半導体を用いた有機電界効果トランジスタ(OFET)は,有機エレクトロニクス実用化のために重要な素子の一つである.このOFETでは,有機半導体と絶縁体界面の伝導チャンネルにおけるトラップなど外因的要因が有機半導体本来の優れた伝導性を阻害していることが報告されている.そのトラップを電荷移動によって予め埋めることのできる電荷移動型の絶縁体の構築を目的に新しい電子受容性分子の合成をおこなった.また,自己組織化単分子膜処理のための初期検討や新たな自己組織化単分子膜分子の合成など,絶縁体を変調することによって有機トランジスタの性能の向上を試みた.
著者
足立 俊明 前田 定廣 宇田川 誠一 山岸 正和 佐伯 明洋 江尻 典雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

リーマン多様体の構造を考察する場合、測地線の研究は非常に有益な手がかりを与える。本研究では、曲線族の種類を増やすことでより多くの情報を獲得し多様体の構造をより詳しく調べられるのではないかという視点に立ち、ケーラー多様体をケーラー形式の定数倍というケーラー磁場による軌道を中心にして考察を行った。1比較定理ケーラー磁場の軌道を基に線織面上に作ったクロワッサン形について、断面曲率の上からの評価の下に周の長さを複素空間形内の弓形の周の長さで評価することができた。逆に断面曲率の下からの評価の下に扇形の弧の長さを複素空間形内の扇形の弧の長さで評価することができた。2複素空間形内の測地球上の佐々木磁場による軌道の考察ケーラー磁場を磁性単体の立場から測地球上の軌道と半径方向とに分解して考察する基礎として、複素空間形内の測地球上で佐々木磁場を考え、その軌道を構造れい率により分類し軌道の周期などの性質を考察した。測地球は佐々木多様体としてのモデル空間であるが、複素空間形上のケーラー磁場の軌道と様子を異にし同じ周期を持つ互いに合同ではない軌道が存在することがわかった。3等長はめ込みによる特徴付けケーラー多様体を実空間形に等長的に埋め込むという構造剛性の下で曲線族としては2次的な点を持つという形に緩めて考察を行った。埋め込みの誘導写像が2次性と測地曲率の対数微分を保つという条件の下ではケーラー多様体は複素空間形の全臍的はめ込みか第1標準はめ込みになる。2次性を保つという条件を緩め外形が2次的であるとすると平行に埋め込まれる階数2のエルミート空間が追加される。
著者
足立 俊明 山岸 正和 前田 定廣 江尻 典雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ケーラー多様体の部分多様体の性質を調べるために、概接触構造から誘導される自然な閉2形式を考え、その定数倍である佐々木磁場の下での荷電粒子の等速運動について考察した。佐々木磁場は一様な力が働く磁場ではないため、軌道が古典的なフレネ・セレーの公式に関して単純である2次の曲線になっているかという観点に着目した。複素空間形といわれる対称性の高いケーラー多様体内の測地球面をはじめとするA型実超曲面上にはこのような軌道が存在し、しかもこのような軌道の量により複素空間形内の部分多様体族の中でA型実超曲面は特徴付けられることがわかった。更に、閉じた2次の曲線になる軌道の長さが数直線上にどのように分布するかを明らかにした。一方、ケーラー多様体の離散モデルの提案にも取り組み、辺が2色に彩色されたグラフがその候補であることを、グラフ上の閉じた道と磁場の下での閉軌道とを対応させ、両者の長さの分布状況に類似点があることを裏付け証拠として示した。