著者
三森 耀介 斎藤 豪 佐伯 竜彦 鈴木 一帆
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.2-8, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
32

本研究ではAl源や養生温度の違いがトバモライトの結晶構造に及ぼす影響に関して検討するため、出発Ca源及びSi源にゲーレナイトやγ-Al2O3を添加し、各条件下で養生を施した。その結果、Al無添加試料を比較的低温である40℃で28日間養生することで1.4nmトバモライトが生成することを確認した。また1.4nmトバモライト生成過程において、Alを添加することで60℃温度条件下でもAl置換型1.1nmトバモライトが生成する可能性が示された。加えて1.1nmトバモライト生成過程においては、低結晶質のC-(A)-S-Hが結晶化すると共にAl置換サイトがQ2bからQ3へシフトする傾向が見られ、Al源の違いはAl置換量の違いを生み出す結果となった。
著者
佐伯 竜彦 富山 潤 中村 文則 中村 亮太 花岡 大伸 安 琳 佐々木 厳 遠藤 裕丈
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.98-108, 2020

<p> 本研究は,同一の薄板モルタル供試体を用いて,日本各地の101か所において暴露試験を行い,飛来塩分環境を評価した.暴露供試体への塩化物イオン浸透量をコンクリートの表面塩化物イオン濃度に換算し,標高,風向,波エネルギーの影響を考慮して離岸距離を補正した,「補正距離」によって,地域によらず一律に表面塩化物イオン濃度を評価できる推定式を提案した.</p>
著者
須田 裕哉 富山 潤 斎藤 豪 佐伯 竜彦
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.71-78, 2020
被引用文献数
2

<p>本研究は、セメント硬化体の炭酸化に及ぼす相対湿度の影響を評価する目的で、20℃環境下のもと相対湿度11%、43%、66%、85%における炭酸化による収縮挙動と組織構造の変化に着目し検討を行った。その結果、乾燥時の相対湿度の違いにより炭酸化収縮の進行程度は異なり、相対湿度43%において収縮量が最も大きくなった。一方で炭酸化による水酸化カルシウムの残存量は相対湿度66%が最も少なく、炭酸カルシウム生成量と収縮量の関係は炭酸化時の湿度によって異なる傾向を示した。この傾向を明らかにする目的で、粉末X線回折、窒素吸着試験および熱力学的相平衡計算を実施した結果、炭酸化時の湿度の違いにより水酸化カルシウムとC-S-Hの炭酸化挙動が異なることが明らかとなった。</p>