著者
角屋 重樹 木下 博義 佐伯 貴昭
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.37-43, 2007
被引用文献数
2

本研究の目的は,小学校と中学校の教師を対象に,観察・実験を通して児童・生徒に育成される力を因子論的に分析するとともに,小学校教師と中学校教師がとらえている観察・実験を通して育成される力に関する因子の関係を検討することである。このため,広島県内の全公立小中学校の理科担当教師を対象に,16項目からなる質問紙調査を実施した。小学校教師366名と中学校教師255名を対象とした結果は,以下のようになった。(1)小学校教師が観察・実験を通して児童に育成されると考えている因子は,問題解決の技能と原理や法則の理解からなるものと,人間性の育成,の2つである。(2)中学校教師のそれは,問題解決の技能,人間性の育成,原理や法則の理解,の3つである。(3)小学校教師と中学校教師の観察・実験を通して育成される力に関する因子の関係は,以下のようになった。(1)小学校教師が観察・実験を通して育成されると考えている因子は,問題解決の技能と原理や法則の理解からなるものであったが,中学校のそれは問題解決の技能と原理や法則の理解に分離していた。(2)小学校教師が観察・実験を通して育成されると考えている人間性の育成という因子は,中学校教師と同一であった。