著者
佐藤 琢朗 雲財 寛 稲田 結美 角屋 重樹
出版者
日本体育大学大学院教育学研究科
雑誌
日本体育大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:24338656)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1-2, pp.123-130, 2018-03-31

本研究では,小学生を対象に,理科に対する深い興味(「知識獲得型興味」,「思考活性型興味」,「日常関連型興味」)を喚起させる指導法を実施し,その効果を検証することを目的とした。この目的を達成するため,「ふりこの運動」の単元において,熊本県内の町立小学校第5学年の児童35名を対象に,自由試行を学習活動の起点とした指導法を実施した。指導法の前後に実施した質問紙の分析の結果から,実施した指導法は,思考活性型興味と日常関連型興味を喚起させることが示唆された。
著者
西内 舞 川崎 弘作 雲財 寛 稲田 結美 角屋 重樹
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.615-626, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
25

本研究では,学習者の理科学習の動機づけ向上のために「科学的能力」から「理科学習の意義」を認識する学習指導法を考案し,その効果を検証することを目的とした。そして,「科学的能力」について直接教授する学習と,普段の理科の学習の中で科学的能力を身に付けていると学習者自身に意識させる学習の二つからなる学習指導法を考案し,高校1年生を対象に,その効果を検証した。その結果,学習者が「科学的能力」を「理科学習の意義の認識」として認識すると,自律性の高い動機づけのうち「内発的調整」,「同一化・将来」,「同一化・成長」を向上させる指導法として有効であった。
著者
山根 悠平 雲財 寛 稲田 結美 角屋 重樹
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.139-152, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究の目的は,理科における実験結果の捏造や書き替え,書き写しなどの研究倫理・研究不正に関する問題に着目し,これまでどのような不正行為が,どのくらい行なわれたのかという大学生の経験と,不正行為に対してどのように考えているのかという大学生の認識の実態を明らかにすることである。この目的を達成するため,理科における不正行為に関する質問紙を作成し,136名の大学生を対象に調査を実施した。その結果,教科書や黒板,他の人の実験結果を写す行為や実験結果を消したり書き替えたりする行為が,他の不正行為よりも頻繁に行われてきたことが明らかとなった。その一方で,大学生はこれまでの理科授業において,不正行為が悪い行為であると認識していたことが明らかとなった。
著者
角屋 重樹 木下 博義 佐伯 貴昭
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.37-43, 2007
被引用文献数
2

本研究の目的は,小学校と中学校の教師を対象に,観察・実験を通して児童・生徒に育成される力を因子論的に分析するとともに,小学校教師と中学校教師がとらえている観察・実験を通して育成される力に関する因子の関係を検討することである。このため,広島県内の全公立小中学校の理科担当教師を対象に,16項目からなる質問紙調査を実施した。小学校教師366名と中学校教師255名を対象とした結果は,以下のようになった。(1)小学校教師が観察・実験を通して児童に育成されると考えている因子は,問題解決の技能と原理や法則の理解からなるものと,人間性の育成,の2つである。(2)中学校教師のそれは,問題解決の技能,人間性の育成,原理や法則の理解,の3つである。(3)小学校教師と中学校教師の観察・実験を通して育成される力に関する因子の関係は,以下のようになった。(1)小学校教師が観察・実験を通して育成されると考えている因子は,問題解決の技能と原理や法則の理解からなるものであったが,中学校のそれは問題解決の技能と原理や法則の理解に分離していた。(2)小学校教師が観察・実験を通して育成されると考えている人間性の育成という因子は,中学校教師と同一であった。
著者
蛯谷 米司 角屋 重樹
出版者
広島大学教育学部
雑誌
広島大学教育学部紀要 第二部 (ISSN:04408713)
巻号頁・発行日
no.28, pp.p145-154, 1979

In order to clarify the relationships between school achievement variances, the following studies were carried out.Study IProblem. The purpose of this study was to examine upper level and lower level relationships between seven subjects (Japanese Language, Social Studies, Arithmetic, Science, Music, Art & Handicraft, Physical Education).Method. 143 pupils in the fourth grade elementary school comprised the sample. Principal Component Analysis (PCA) and Cluster Analysis were used to treat the data from this sample.Result. The results of this study are summarized as follows:1) One principal component was found to be statistically significant by PCA. It is composed of six subjects. They are Japanese Language, Social Studies, Arithmetic, Science, Music, Art & Handicraft.2) By Cluster Analysis, two clusters were found. Two subjects made up each cluster -- Japanese Language and Arithmetic for one, Social Studies and Science for the other.Study IIProblem. Study II had two purposes. One was to examine lower level relationships between ten subjects (Modern Japanese, Classics, Geography, Mathematics, Biology, Earth Science, Physical Education, Health, Music, English). The other was to determine which subject would increase the predictability of scores of biology or earth science.Method. 401 first year students in senior high school made up the sample. To analize the data of this sample, Cluster Analysis and Multiple Regression Analysis were employed.Result. The following were the results of this study:1) Two clusters were found by Cluster Analysis. Three subjects comprised each cluster. Modern Japanese, Classics and English made up one cluster. Biology, earth science and mathematics formed another cluster.2) With biology or earth science as criterion variables, the magnitude of standard regression coefficient for both mathematics and geography were greater than those of the other subjects.Considering these results, we may conclude two points.1. Subject clustering in the fourth grade elementary school is different from that of the first year high school.2. Achievement scores in mathematics and geography are valuable for predicting performance in biology or earth science.