著者
堀 義城 新垣 淳也 佐村 博範 古波倉 史子
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.207-210, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
9

症例1:62歳男性.上行結腸癌stage IIIa術後補助化学療法として,Cape-OX療法を開始した.2コース目に入る際の血液検査にて乳糜反応3+であったためトリグリセリド(TG)値を確認したところ1,037mg/dlであった.Capecitabineによる高TG血症を疑い,本剤を中止したところ,改善を認めた.症例2:62歳男性.直腸S状部癌High risk stage II術後補助化学療法として,Capecitabine単独療法を開始した.2コース目終了時の血液検査にて乳糜反応2+であったためTG値を確認したところ1,058mg/dlであった.本剤による高TG血症を疑い,本剤を中止したところ,改善を認めた.Capecitabineの有害事象として,高TG血症は比較的まれではあるが,急性膵炎のハイリスク因子であり,注意すべきである.本剤内服中はTG値の厳重なfollowを要する.
著者
新垣 淳也 荒木 靖三 野明 俊裕 的野 敬子 鍋山 健太郎 岩谷 泰江 岩本 一亜 小篠 洋之 佐藤 郷子 高野 正博 佐村 博範 西巻 正
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.310-316, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
40
被引用文献数
1 1

目的:毛巣洞に対する当院で行ったV-Y plastyの手技と成績について報告する.対象と方法:2006年から2012年までの毛巣洞手術症例14例を対象とし,V-Y plastyの手術治療経験についてretrospectiveに検討した.結果:平均年齢31.5歳(16~48歳),全例男性.平均体重75.5kg(63.4~92kg),BMI 26.0kg/m2で,25kg/m2以上の症例は8例(57.1%)であった.病悩期間は平均15.5ヵ月(3日~5年),平均手術時間45.3分,術後合併症は6例(42.9%)のうち,創感染5例,創部不良肉芽形成1例であった.皮弁壊死など重篤な合併症はなかった.術後再発症例は認めていない.考察:病巣切除,一期的創閉鎖,V-Y plastyは,手術手技が容易で再発が少なく安全性が高いことより容認できる手術術式である.今後症例を蓄積しながら慎重な経過観察が必要である.
著者
田本 秀輔 金城 達也 佐村 博範 金城 章吾 西巻 正
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.65-67, 2017

<p>症例は47歳,男性。2,3日前から右下腹部痛が続き,その後に嘔気,悪寒および冷汗が出現したため救急外来を受診した。受診時は右下腹部に限局した圧痛および反跳痛を認めたが,発熱は認めなかった。腹部造影CT検査で上行結腸近傍に脂肪織混濁を認め,上行結腸垂炎と診断した。抗生剤治療を開始し,外来通院加療で軽快した。原発性腹膜垂炎は多くが自然軽快する予後良好な疾患である。臨床経過や腹部所見より鑑別診断として急性虫垂炎や憩室炎があげられるが,原発性腹膜垂炎は特徴的な画像所見を示すことが多いため,急性腹症の診断の際に本疾患を念頭に置くことで手術を含め,不要な治療を回避することができる。今回われわれは,造影CT検査で診断し,保存的に加療し得た原発性上行結腸垂炎の1例を経験したので文献的考察を含め報告する。</p>