著者
和田 健太郎 佐津川 功季
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.56-72, 2017 (Released:2017-03-20)
参考文献数
36

本稿は,1起点多終点ネットワークを対象に,動的配分理論に基づくMacroscopic Fundamental Diagram(ネットワークの車両存在台数とトリップ完了流率の関数関係)の解析法を構築する.具体的には,まず,渋滞パターンを与件とした動的利用者均衡モデルに対する逆問題を定式化する.逆問題は線形方程式系で記述されており,ネットワークのマクロな性能を表すトリップ完了流率と,よりミクロな状態である渋滞パターンとを解析的に関係づけることができる.この解析式の感度分析を行うことで,待ち行列の延伸によるトリップ完了流率の低下が生じる渋滞パターンとそのメカニズムを明らかにする.
著者
和田 健太郎 瀬尾 亨 中西 航 佐津川 功季 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_1139-I_1158, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
80

本稿では,道路上の交通流ダイナミクスを記述する標準的な枠組みであるKinematic Wave (KW)理論の近年の発展について解説を行う.具体的にはまず,KWモデルの従来の解析法を概説しその限界を述べた上で,交通流の変分理論(VT)を解説する.また,様々な座標系(Euler座標系,Lagrange座標系)で記述される交通流モデルがVTの枠組みにより相互に関係づけられることをみる.続く章では,上記の単一道路区間(リンク)でのモデルをネットワークに拡張するための理論について記述する.ここでは,多車線道路や交差点を対象に,複数のリンクの境界面における交通流を決めるための条件や手法を解説する.