著者
佐藤 千洋
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0170607a, (Released:2018-06-11)
参考文献数
29

業績不振に陥っている電機産業とは対照的に、電子部品産業は好調な業績を維持している。しかし、電子部品産業の収益性は企業によって大きく異なり、専業メーカーと総合メーカーを比較した場合、専業メーカーのほうが高い傾向にある。総合のシナジー効果を持つ総合メーカーに対して、なぜ、専業メーカーは競争優位性を築くことができるのか。本稿ではこの疑問に対して、専業メーカーのアーキテクチャ戦略と製品開発体制との適合関係について検討した。そして、イリソ電子の事例分析から、専業メーカーの競争力や高い収益性は、必ずしも一つのアーキテクチャ戦略にもたらされているわけではなく、複数のアーキテクチャの位置取り戦略を持ちながら、それらの位置取りに適合した製品開発組織・プロセスが構築されていることが示された。