著者
佐藤 尚弘
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.613-622, 2012-11-25 (Released:2012-11-23)
参考文献数
34
被引用文献数
3 5

高分子溶液の粘度は,高分子の分子量や濃度,および鎖の剛直性に強く依存することが知られている.本報では,5種類の剛直性の異なる高分子溶液に対する広い分子量・濃度範囲にわたるゼロずり粘度を,みみず鎖円筒およびファジー円筒モデルに基づいて定式化された粘度式と比較した.この粘度式には,ファジー円筒の縦方向の並進拡散を支配する臨界空孔サイズを特徴づけるパラメータと分子間流体力学的相互作用の強さを表すパラメータが分子論的に決められない調節パラメータとして含まれている.前者については高分子溶液の種類や分子量によらない一定値を,また後者には溶液の種類と高分子の分子量ごとに適当な値を代入すると,粘度式は調べた5種類の高分子溶液系とも広い分子量・濃度範囲にわたって実験結果とよく一致した.
著者
近藤 愛子 佐藤 尚弘
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.452-457, 2007 (Released:2007-10-01)
参考文献数
15

0.1 M NaCl 水溶液中,pH=7,タンパク質濃度が約 10-3 g/cm3 の条件で,球状タンパク質である β-lactoglobulin(β-LG)を 75℃ で熱変性させた後に冷却させて形成される会合体の構造を,円二色性,粘度,および多角度光散乱検出器を有するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)により調べた.円二色性測定の結果は,この熱変性タンパク質が冷却しても元の天然状態の二次構造には戻らないこと,そして粘度測定の結果は,このタンパク質が熱変性によりランダムコイル状の形態をとり,冷却により小さく収縮した形態をとることを示した.さらに SEC-MALS により,熱変性後に冷却して形成された β-LG の会合体に関して次の結果を得た:(1)β-LG の会合体は大小 2 種類に大別できる;(2)「小会合体」は平均して 5 個の β-LG 分子から形成され,各 β-LG 分子は天然状態に近いコンパクトな形態をとっている;(3)「大会合体」は 100 以上の β-LG 分子の集合体であり,その高モル質量域での回転半径のモル質量依存性は,分岐鎖状の接触ビードモデルにより説明できる.
著者
佐藤 尚弘
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

1.光硬化型ペースト陶材の開発本研究のスタートは,光硬化性のリキッド(マージンポーセレンPLC、(株)ジーシー)をペースト陶材に混和して用いる方法であったが,これではペーストの稠度が変化し、賦形性が悪くなった。また,この液を大量に用いた場合には焼成後の灰分残留が大きな問題となった。ペースト陶材は元々焼成時に有機成分の抜けが悪く、その分灰分残留に一層の拍車をかける結果となった。以上の理由から、新たに光硬化型ペースト陶材そのものを開発する方向に転換し,現在試作ペーストを作製して実験を行っているが、操作性の優れたペーストの完成にはいま少し時間が必要である。2.ペースト陶材とオールセラミックスを用いた審美修復法の開発金属焼付ポーセレン用に開発したペースト陶材を,オールセラミックスに応用できれば審美性に優れた修復物の簡便な作製が可能となる.そこで,2種類のオールセラミック試片(In-Ceram Alumina.In-Ceram Spinell)にペースト陶材をレヤリングし,その強度を粉末陶材でレヤリングしたものと比較検討した.ISO 6872:1995 Dental Ceramicsに準じて3点曲げ試験を行った結果,ペースト陶材は従来型の粉末陶材よりもわずかに高い値を示した.このことからペースト陶材がオールセラミックスのレヤリングに有効である事が示唆され,2003年6月にスウェーデン・イエテボリのIADRにおいて,Flexural Strength of All Ceramics Layered with Paste Porcelainの題名で発表した。現実的な審美修復法としてメタルフリーのオールセラミックスにペースト陶材をレヤリングするのが適切であると結論されたが、光硬化性ペースト陶材も開発の可能性が十分確認されたことから、引き続き本研究を継続する予定である。