著者
佐久間 絢 上田 朝美 池田 敏明 玉井 謙次 高橋 宏行 佐藤 智行
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.323-327, 2022-07-15 (Released:2022-08-27)
参考文献数
12

心臓外科手術の術中・術後に急性硬膜下血腫を発症した3症例を経験した.発症要因として,既報で論じられているヘパリン化や凝固能異常,マンニトールによる脳容積減少に加えて,術中の手技も発症の一要因としてなり得たのではないかと考察した.今回経験した1症例では,術中のBIS値の急激な低下が早期診断の一助となったが,心臓外科手術後の脳神経障害は,術中や術後の鎮静薬,鎮痛薬の影響で早期発見が困難である場合が多い.人工心肺を用いた心臓外科手術では特に高齢者において急性硬膜下血腫が発症し得ることを念頭に置き,術中に頭部に加わる外力を最小限にすることや,術後に定期的な中枢神経評価を行うことが重要である.
著者
鈴木 和幸 佐藤 智行
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.105-113, 1997-01-15

システムの規模が巨大化し,その故障の影響がますます大きくなる今日,状態監視保全がより重要性を増している.この状態監視保全においては外部から直接把握できないシステムの状態に関する情報を与えるモニターが重要な役割を担う.しかし,このモニターは誤報や欠報の例のように必ずしもシステムの真の状態を伝えるとは限らない.Blackwell Girshick^<[2]>は,統計的意思決定問題において,"2つの実験の比較"を扱い,実験により得られる情報の優劣を判定するための十分条件を導出した.彼らの方法は複数台のモニターに対する優劣の比較に応用しうる.本研究は,コスト(損失関数)の大小関数の情報を利用することにより,2つのモニターの優劣の比較を文献[2]よりもよりゆるやかな条件により為しうることを示す.なお,本研究の結果は2状態2アクション問題を扱ったMurakami^[7]の結果を含むものである.